2022.11.28

47都道府県酒飲み計画 金沢へ。

東京へ転勤になってからそろそろ丸三年。
コロナもだいぶ収まってきたこともあり、活動を再開することにしたのです。
何を再開するかと言いますと、「全国47都道府県すべてで酒を飲む」という私のライフワークです。

九州時代からずっと行ってみたかったのが石川県の金沢。新幹線の開通で東京からかなり行きやすくなったと同時に、一時は大混雑していたようですが、そろそろ落ち着いてきた感もある。ここはひとつ11月のカニ漁の解禁を待って行ってみることにしたのです。

01_20221128163601 新幹線ってホントに早くて便利だよなぁ~。乗り込んでしまえばあっという間に金沢到着です。
日本海側と言えば天気が曇りや雪であることが多いのですが、この日は晴天でコートが不要なくらいに温かい。
目的とする飲食街の方へブラブラと歩いていきます。翌日立ち寄る予定の近江町市場の場所なども確認しつつ歩いていると、さすがに日が暮れてきました。

ん~、飲み屋街はこの辺りかな?

と、あえて横道へそれると、薄暗い通りに居酒屋、料理や、料亭など、落ち着いて静かな感じのお店が点在しています。

アレレ、良さそうなお店がいっぱいじゃないか!

Photo_20221128163603 この夜の食事は一軒しか調べて来なかったのですが、もし失敗しても十分取り返しが出来そうな雰囲気です。
そんなことを思いつつ歩いていくと、お目当てのお店「浜長」へと到着しました。
すこーしお高そうな雰囲気に気後れしつつ引き戸を開けてみます。

ガラリ・・。

いらっしゃいませー!と大将の声。

私:「あの、一人で予約しました・・」
大将:「FUKAWAさん?さぁこちらへどうぞ。」
とスムーズにいざなってくれます。

ガッシリした黒いカウンターに、先客は60代と思われるご夫婦のみ。

まずは瓶ビールをお願いし、美しいお通しを眺めながら策を練ります。
メニューは本日のオススメ食材が黒板に、「造り」「焼物」「酢物」と調理法別にギッシリ。お値段は書いていないので”時価”ということでしょう。
そこでまずは”お刺身盛り合わせ”をお願いしてみました。

大将:「盛り合わせね、承知!」と気持ちよく応じる。

しばらくして供された盛り合わせ、一見すると何の変哲もないお刺身なのだが・・・。
まず”アオリイカ”を一切れパクリッ。

なんだこの美味しさ!

アオリイカなら自分で釣って食べたこともあるけれど、甘みがあって全然違う。旨いっ!もはやイカとは思えないくらい旨いっ!

日本酒”手取川”で気を落ち着けて、同じ皿の”ブリ”に着手。

ムムムムッ!これも旨いっ!

流通の発達した現代である。ブリなんて全国どこでも食べられると思っていたけれど、これは全然違う!刺身をひと切れ運ぶたびに、思わず顔が緩んでしまう。
不気味な客だと思われないように顔にシマリを取り戻そうとするものの、あまりの幸福感にニヤニヤが止まらない。そんな私を見た大将が、

「他地域ではブリは養殖も多いですからね、でもやはり北陸の天然物は全然違いますよ。」と教えてくださる。

んー、そうか、天然物でも特に良いものは地元でしか出回らないのだな。などと思いつつ他の魚も順次いただく。

お店には大将の他にお弟子さんらしき男性が二人、女性店員も3~4人いて、奥のお座敷にもどんどん料理が運ばれていく。ギャル風(髪の色が)の店員さんに「お盆は両手でね」と指導する様子も人柄が練れている感じだ。

刺身の後にもう一品お願いしたものの、先ほどから隣で品の良い夫婦客がつついているカニも気になる。
そうだよ、俺はカニ漁の解禁に合わせて来たんじゃないか。

私:「大将、あの(隣の人と同じ)カニ、私の分もあります?」
大将:「もちろんですよ。香箱蟹ね。承知!」

蟹というのは同じ(またはほぼ同じ)種類でも、地域によって呼び名が変わるのでいろいろややこしい。香箱蟹(コウバコガニ)というのはズワイガニのメスのことだそうだ。

Photo_20221128163601 供された”香箱蟹”。
ほぐしたカニの身が甲羅に美しく盛り付けてある。
「よそではよく、足の部分を殻からギュッって押し出すんですけど、そうすると旨味のある汁が絞り出されてしまうの。だからウチでは箸で一本ずつ甲羅から取り出しています」とのこと。

旨いよ、旨いよ。

宝石箱の中の宝石をつまむように、箸先で少しずつ大切にいただく香箱蟹。
見た目が美しいだけではない、味も旨味もたっぷりと堪能。

Photo_20221128163602 この後大将が「甲羅酒はいかがですか?甲羅を少し炭火であぶってね・・・」とお勧めされたのでもちろんリクエスト。
カニの甲羅で熱燗を、「オットット」とか言いながら飲むのかと思ったら、甲羅がドボンと入る器でたっぷりと頂くスタイルでトドメを刺されました。
何もかも美味しくて、また来月にでも来たくなる(価格帯もわかったし)ような素晴らしいお店なのでした。

その② 金沢BAR編へと続く。

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2022.04.21

やはり個人店だよな。

ある日の昼食。3人で行った出張先で入った店は、いわゆる古民家リノベーション風。
二階の畳の部屋での食事が終わり車に乗り込むと早速反省会。

私:建物はホンモノの古民家というか、古い商店に手を入れた感じだったな。

M:寒かったですね。(料理が)出てくるのけっこう遅かったし。

H:まだ開業して間がないんじゃないでしょうか。お店の人も若かったし。

私:だからオペレーションがうまくいっていないのかな。雰囲気先行型ってヤツか・・・。

M:メニューの素材に豆が多かったですよね。


私:俺が頼んだのは納豆定食。

H:どうでした?

私:ちょっとボリューム不足かな。ご飯に納豆と、みそ汁に漬物。家でも食える。

M:僕は煮魚定食で味は普通でした。そういえばメシが玄米みたいでしたよね。


私:ヘルシーとか無農薬とか、思想先行型かもしれんな。

H:Mは料理を待っている間、置いてある本を読んでいたよね。

M:ええ、実は最近、飲食店に置いてある本は、料理に関するガチな内容の本が多いと気づいたんですよ。


Hと私:フゥ~ン。

私:ところであの若い二人(店の人)は夫婦かな?

M:いやぁ~どうでしょう。一階のトイレに行ったときに見たんですけど、男の人の方が料理担当で、でも店の主人って感じではなかったですよ。


私:やはり女性の方が店主か。

H:近所のショップの名刺とかも置いてあったし、地元の人ですかね?

M:いや、さっき言ってた本の裏表紙に、神田の古本屋街の値札が貼ってありましたから、もしかしたら二人のどちらかは地元の人ではない可能性が・・・


私:深堀りするね。

M:ええまぁ。


私:つまりあの店は、親戚の叔母さんが何か小さな店を経営していたんだが、高齢になって数年前にやめてしまい建物も取り壊されようとしていた。しかし古い建物を壊すのはもったいないからと、姪っ子が始めた健康志向の店。男の人は多分・・・う~ん、店主の友達の弟で、実家が旅館か料理屋なので多少料理の心得がある人。ということだな。

HとM:深堀りしすぎですよ!!


何の特徴もないチェーン店よりも、個人店の方が楽しめるという典型的な出来事なのでした。

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2022.03.30

ソロ花見をしてきたんですよ。

花見の季節。
コロナも収まってきたことだし、今年はぜひ花見をしたい。
しかし花見というのはけっこうハードルが高くて、桜の花の咲くタイミングが会社の休日に重ならないかもしれない。当日雨が降るとどうにもならないし、風が強くても困難になる。場所が人でいっぱいだったりすることもある。用意周到に準備せねばならないのです。
花の咲くタイミングについてはSNSで地元のお花見スポットについて情報収集。公園を散歩している人が、「チラホラ咲きはじめました」といった有益な情報をUPしていることを発見。ちょうど週末辺りが満開っぽいのですが、天気予報を見ると土曜日は降水確率が高く、日曜日は風がやや強い。都会ならではの人出にも警戒しなければなりません。

そこで今年は月曜日に有給休暇をとってしまいました。

天候や開花の状態次第で日曜と月曜のどちらにも対応できるし、日曜日に行って人が多すぎれば、平日の月曜日に出直すことも出来るようにしたのです。

そして日曜日。天気は曇りですが最高気温は23℃の予報で花見としてはバッチリ。我が家から徒歩10分の、善福寺緑地公園へと向かったのです。
Photo_20220330124302 到着してみると予想通り桜は満開。
善福寺川の両岸に沿って延々と桜並木が続いてきます。
午前十時ということもあってか人もそれほど多くありません。花見の場所はどこにしようかと迷いながら、のんびりと桜並木を一周し、適当なスペースを見つけました。
この適当なスペースというのは一人分。

すなわち今回は「ソロ花見」というスタイルなのであります。

コロナ対策でシートを敷いての宴会は禁止になっていたので、シートは敷かずにキャンプ用のミニテーブルと椅子のみを設置。酒宴の準備が整いました。

Photo_20220330124306 そしてまずはビール

いいよなぁ~。
桜の花の下でのビール。
しかも午前中からだ。



Photo_20220330124308 ツマミはまずはデパ地下で買った総菜類と、自家製の燻製(タコ、ウズラの卵、サーモン)で開始。ビールはあっという間に飲み干してしまい、お次は日本酒(冷酒)。
これはカップ酒(志太泉・純米吟醸)を活用し、ゆっくりと飲みながら食事の準備を始めます。
多くの公園と同じく善福寺川緑地公園も火の仕様は禁止。そこで今回は水を入れると化学反応で発熱するツールを利用しました。
専用のビニール袋に薬剤とパックご飯、それから水を投入するとかなりの熱が発生し、シューシューと蒸気が出てきます。15分ほどたつと蒸気の噴出が止み、あったかご飯の完成です。
Photo_20220330124502 これに本マグロの中トロを乗せていただきます。

ん~ん、最高。

やはり関東の魚はマグロが一番だ!



Photo_20220330124303 さてこうなると燗酒も欲しい。
当然燗酒向きの日本酒も用意してあります。
大阪の「秋鹿」と兵庫の「奥播磨」

Photo_20220330124501 燗つけには、普段は缶ビールを冷温で保持するための真空構造の容器「缶クーラー」を使いました。
こいつに徳利を入れて、魔法瓶に用意しておいたお湯を注げば、お湯が冷めにくくなり燗の酒の温度を保つことが出来ます。徳利の外径と缶クーラーの内径が比較的近いこともあり、最小限のお湯で燗を付けられます。まさに逆転の発想「燗クーラー」となるのです。

Photo_20220330124301 屋外ということで徳利とぐい飲みは割れる心配のない錫製を準備。

燗酒と鉄火メシ。
たまんねぇ。

2_20220330124501桜を眺めながら一息入れた後はワインを取り出します。







Photo_20220330124307 ワイングラスはオーストリア、リーデル社のO(オー)シリーズ。

このグラスはステムを無くすことで、破損の恐れのある屋外でも扱いやすく、列車の中など倒れやすい環境でも使いやすいという優れモノなのです(とはいえやはりリーデルのグラスは薄いので、持ち運びには細心の注意を払いました)


Photo_20220330124305 ツマミはチーズ盛り合わせ。これに別途用意したオリーブオイルと塩胡椒を振りかければ立派なツマミへと変身。
チビチビとやりながら周囲に目を向けると、いつの間にか周囲には家族連れや老夫婦などが思い思いに座り花見を楽しんでいます。
発電機の使用やカラオケも禁止されているので、静かな雰囲気で桜を楽しむことが出来ます。
Photo_20220330124304デザートにイチゴ(博多あまおう)を頬張って、ソロ花見は成功裏に終了したのでした。

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2022.02.21

阿佐ヶ谷:「酒場 さん七」で燗酒三昧。

コロナの影響で時短営業が続く飲食店街、行きつけの「酒場 さん七」でも、

「先が見えないから仕入れの量をどうするか悩んでいます」

とのことで、一時は日本酒のメニューがやや少なくなっていました。
しかし2月も中旬に入り、飲み屋街の雰囲気も少しづつ上昇。ようやく先が見えてきたようで、「お燗向けガッツリ入荷」の連絡が入りました。

Photo_20220221134201阿佐ヶ谷の商店街、パールセンターのアーケードの下をいそいそと歩き、やがて一本奥の路地へと入り込みます。そして古い飲食店ビル「パティオ・エル・スール」の二階へと上がります。
ギィとドアを開けると、いつものように薄暗い店内。

私:「こんばんは」
店主:「どうぞ、カウンターへ」私:「えっと、ビールと、おかせコースでお願いします。」

まずは間もなく供されたビール(ハートランド)をグビグビと飲みます。
このお店は日本酒メインで、最初のビールは無くても良いくらいなのですが、ビールも嫌いなわけじゃない。アラブの詩人が「祈りも酒も両方あるから良い」と言うように、私は「ビールも日本酒も両方あるから良い」と言うわけです。

この夜のお任せコースは前菜の”もずく”からスタート。二品目の”ナスのピリ辛煮”あたりで早くもビールは終了し、三品目”三種盛り”が出るころには日本酒の注文へと移ります。
最初は慣れ親しんだ”初桜 純米大吟醸”をクイッと一杯。
Photo_20220221134207三種盛り”の内容は根室産生ウニ、鯵のなめろう、鯖の炙りという充実したもの。
絶妙な炙り具合の鯖は、隣のお客さんが「単品であと二人前ください」と言い出すほどの美味しさ。鯵のなめろうももちろん旨いが、根室産生ウニがとどめを刺してくれます。お酒は”不老泉 杣の天狗純米”と滋賀県リレー。
Photo_20220221134203 ここで改めてお酒のメニューに目を走らせると、「燗か常温がオススメ」のコーナーに古参メンバーというか、オールスター級メンバーが勢ぞろい。ワクワクしながら選んだのは”小松人 山廃純米 責め”グググッと胃袋に染み込むような味わいのこのお酒を飲んでいると、「石川県小松市の人は全員いい人に違いない」という確信めいたものが湧いてきます(小松市はおろか石川県にも行ったことは無いのですが)。
コースの四品目は”和牛煮込みハンバーグ”、ハンバーグに日本酒?と思われる方もいるかもしれませんが、さん七のラインナップなら安心です。Photo_20220221134205十字旭 生酛純米原酒”をチョイスし、濃い味どうしを楽しみます。

複雑だが、明確な主張のある酒と肴が話し合っているのが聞こえるような静かな店内。
んー、ととのう。

五品目の”珍味”と”おでん盛り合わせ”をつつきながら、今度は”日置桜 夜桜ラベル”をもちろんお燗で、ジワッと香ばしさのある飲み口。「石川、鳥取、島根のお酒に嘘偽りは無し」という「石鳥島の法則」を改めて確認していると、闇に沈み込んだような店内で、体中が温まっていきます。
Photo_20220221134204 最後はこのお店の番人のような存在”三光天賦 山廃純米”をすすりながら”〆のご飯(この夜はお茶漬け)”をいただき、春とともに普通の飲み屋街の夜が訪れることを祈るのでした。

 

 

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2021.11.29

吉祥寺「中清」にて昼酒アワー。

長いこと続いたコロナもそろそろ終息か?
東京の緊急事態宣言も解除され、徐々に経済活動を再開しています(言い換えると飲みに行っています)
まずは阿佐ヶ谷のなじみのお店の営業状態をチェックしつつ、最近は中央線沿線のその他のエリアのお店へも足を延ばし始めています。

01_20211129150001 そんなある日曜日。伺ったのは吉祥寺にある「中清」という蕎麦屋さん。

午前11時の開店に合わせて昼酒でも楽しもうという魂胆です。
「中清」は吉祥寺駅から徒歩10分ちょっと。街に古くからある典型的お蕎麦屋さんの風情に付け加え、日本酒の一升瓶がズラリと並ぶ店構え。

期待度大で吸い込まれました

東京はどこへ行っても人が多くてお店も混んでいることが多いのですが、さすがに駅から10分以上歩くためか先客は無し。

私:「一人なんですけど・・・」
店員さん:「どうぞ、どこのお席でも。」

奥の方のテーブル席に腰を落ち着けて、改めて店内を見まわします。
澄んだ空気の店内は、磨き上げられた木製のテーブルと小上がりという構成。
こういった”街によくある古いお店”にありがちな、隅の方にガラクタが積み上げてあるようなことは無く、代わりに日本酒や蕎麦、ジャズ喫茶に関する書籍などが並んでいます。
天井付近からは日本酒の銘柄を書いた大きめの短冊が下がっていて期待が高まります。

02_20211129150601 さて注文・・・という段階で壁に”キリン・ハートランド”のポスターを発見して大安心。
私の経験上”ハートランドを置いている店にダメな店は無し”なのです。
当然”ハートランド”と、ツマミは”板ワサ”を選択。”板ワサ”は二種類あって、片方はワサビ以外に蕎麦ミソも付いてくる(蒲鉾は小田原の鈴廣製)とのことなので、ここは蕎麦ミソバージョンを選択。
その他に”カツ煮”と”揚げナス”もお願いしてまずは一口。

グビグビグビ・・・。プハァ~。
あ~旨い。午前中からのビールはホントに旨い。


板ワサはさすがに鈴廣の蒲鉾。活きの良いプリンッとした食感がすばらしい。
少し待つと、寒いのでお願いした”カツ煮”も到着。蕎麦屋さんのサイドメニューって、卵を使ったものが特に美味しいように思うのは私だけでしょうか。
03_20211129150601 ”カツ煮”を食べ終わることには”揚げナス”が到着。
これにはもちろん日本酒ということで”手取川”を選択。酒の舞台が整いました。
ナスは私の大好物の一つですが、一つだけ欠点を挙げるとすれば皮が固いこと。皮をむいていない料理だと皮だけ嚙み切れないことが多いのです。しかし中清では包丁で半分に切ってあり、完璧なナス料理となっています。
日本酒をチビリチビリとやりつつ改めてメニューに目を走らせると、「大正十二年創業」という記載。
もうすぐ100年を迎えるたいへんな老舗ということになり、ナスの包丁にも納得です。

04_20211129150601 もう少し飲みたいので”山芋海苔巻き”と”豊盃”を注文。
片口から漂う豊盃の香りを楽しみつつ、他のお客さんの様子などを観察。
ご近所の夫婦者と思われる客が二組。その他も近所の人々と思われ、皆さん静かに酒を飲み、蕎麦を手繰っています。

05_20211129150601 最後によくシメられた”鴨汁蕎麦”をいただくと、心地よい満腹感とともにほろ酔い気分となり、やわらかな日差しの中へと歩き出すのでした。

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2021.10.05

外飲み解禁日:神田 眠庵

長かったコロナ緊急事態宣言。10月1日にようやく解除されました。

いや~長かった。本当に長かった。この間は当然「家飲み」になっていたわけです。
家飲みの良いところは好き勝手に飲むことが出来ること。
冷酒向きと思われる日本酒を燗にしても、レアなウィスキーを水割りにしても、午前中から飲み始めても誰にも文句を言われない。
なので最初のうちはこの家飲みを楽しんでいたのですが、こう長く続くとさすがに飽きてきます。
まず、つまみのレパートリーが少ないのでネタ切れになります。行きつけのお店のテイク・アウトを利用したりもしていましたが、それでも大部分は自炊となり、自然と簡単なものばかりになってしまいます。
それに一人暮らしだと話し相手がいない。お店に行けば店の人や常連客と話したり、知らないお客さんの話に聞き耳を立てて楽しむことが出来るわけですが、家飲みだとテレビを見るくらいしかない。

 

そんな欲求不満の家飲みが、ついに9月30日で終わったのです。

 

Photo_20211005112701

緊急事態明けの10月1日は一刻も早く良質な酒と肴に出会いたい。

という私の欲求に心の羅針盤が指し示したのは、会社の近くにある「眠庵」でした。

民家の裏口のようなドアを開けるてカウンター席に陣取るとまずは注文です。

 

「”ハートランド”と”牛肉と大根のバーボン煮”あと”お豆腐(自家製)”をお願いします。」

 

このいつも同じ注文内容を口にするのも何ヵ月ぶりか・・・。楽しい夜の始まりです。

Photo_20211005111003 キレのあるキリン・ハートランドをコップに注ぎ、グビッ、グビッ、グビッ、グビッ・・・プハァ~。

あ~ウマい、やはりお店で飲むビールはウマい!


Photo_20211005110701 店主とポツポツ話しながら、”バーボン煮”や”豆腐”をつまみます。

ビールはすぐに飲み干してしまい、お酒は”喜久酔 特別純米”へと移行。静かな酒宴が進みます。

準備運動も終わったところで注文したのは”丸干しイカ”。

Photo_20211005111002 痛風持ちとしては長い間避けていたメニューですが、外酒解禁日のこの夜は特別に禁を解くことにしました。
等間隔に切られたイカの断面には、黒いワタが顔を出しています。酒飲みならば誰でも、はみ出したワタを見て笑みをこぼすというものです。
お酒は”志太泉 純米吟醸 生原酒””君盃 さくら 純米吟醸”と飲み進みます。それにしても静岡の酒はどれも美しく、それでいて飲み飽きないなぁ。

珍しく空いていた眠庵。最後は”お蕎麦 二種盛り”をいただいて〆たのでした。

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2021.07.05

梅雨空の下 阿佐ヶ谷「やの志ん」で昼酒 

東京都の緊急事態宣言が解除され、ようやく飲食店でのお酒の提供が再開されたものの、夜7時までというのはなんだかなぁ~。
会社を定時に出ても阿佐ヶ谷へ到着するのは6時過ぎ。かなりいそいそと飲まねばならず、どうも落ち着きません。
家飲みも悪くはないけれど、コロナがこう長引くとツマミのレパートリーも無くなってきたし、新しい分野のお酒への挑戦もネタ切れになりつつあります。

それならいっそ昼から飲めば良い。

01_20210705154901ということで、阿佐ヶ谷の蕎麦屋さん「やの志ん」へと足を向けました。
梅雨の長雨が一瞬途切れた日曜日の11:30。静かな曇天に真っ白な暖簾が映えています。
開店と同時におじゃますると、
女将さんが「お一人?カウンターどこでもどうぞ」と促してくれます。

02_20210705155601 まずは”瓶ビール”とメニュー上で目の合った”トウモロコシのかき揚げ”それから定番の”馬刺し”をオーダー。
ビールをグラスに注ぎ、グビッ、グビッ、グビッと喉を鳴らします。

恥ずかしながらこの歳になって、一杯目のビールは一口ではなく、ある程度の量をグビグビと流し込んだ方が美味しいということに最近気がついた私です。(しかし気づいたことを心から喜んでいます)

03_20210705154901 ”トウモロコシのかき揚げ”は量が多いらしく、店長が気を利かせてハーフサイズにしてくれました。サクサクしたころもに付けた塩と、トウモロコシの甘みの出会いに思わず笑みがこぼれます。
もちろんビールとの相性も最高です。


04_20210705154901お次に登場したのは”馬刺し”コイツにはもちろん日本酒が欲しくなります。”東北泉 雄町純米”からスタート。
馬刺しは熊本産の最高級品ということで、柔らかいことこの上ない。噛めば噛むほど奥底からウマ味がにじみ出てくる、そいつを日本酒でクイッと・・・。

やの志んの料理はどれも美味しいので、次から次へと頼みたくなります。
雰囲気も良いのでつい長居したくなります。

07_2021070515490106_20210705154901 というわけで”大山鳥のネギ焼き”と”真澄 特別純米”に移行。
大山鳥を味わうと、メニューにある親子丼も気になりますが、神に祈るか仏を拝むかと同じくらい悩んだ末に”そばがき”と”秋鹿 山田錦純米吟醸”へと進みました。

08”そばがき”は揚げたものもありますが、この日はノーマルタイプをムニャムニャと頂きました。




10締めのお蕎麦は”鴨とナスとミョウガの限定つけせいろ

鴨・ナス・ミョウガって、全部私の好物じゃないですか!

あ~満腹満腹。家に帰って昼寝して、夕方から健康ランドの温泉でも入るか。

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2021.03.01

阿佐ヶ谷:酒場 さん七

01_20201204123801 阿佐ヶ谷の飲み屋街の特徴は個人店が多いこと。
そしてお店の経営者もエッジの利いた人が多く、音楽好き、演劇好きを全面に出していたり、あるいはいわゆる不定期休で休みが多かったりと、”面白いけれど慣れないとなかなか落ち着けないお店”が数多くあります。
そんな阿佐ヶ谷の夜の街で見つけた、肩の力を抜いて静かに落ち着いて飲めるお店のひとつが「酒場 さん七」です。

02_20201204123801 阿佐ヶ谷駅前から続く商店街「パールセンター」を南へ向かって歩き、一本横の通りに入り込むと、そこにいかにも昭和な飲食店ビルが佇んでいます。
「パティオ・エル・スール」というオシャレな名前のこのビルは、やけに幅の広い階段が日本経済全盛期の昔を語り、少し寂しげな照明が飲兵衛を吸い寄せます。

このビルの二階にある「酒場 さん七」は、日本酒中心の小さなお店です。
カウンター4席と小さなテーブル席がひとつと、滅多に使われることの無さそうな普通のテーブル席がひとつ。
店主は「ウンチクは嫌い、敷居も意識も低いお店です。」
と言ってはいるものの、実はすばらしい日本酒のラインナップとしっかりしたお料理の味わえる素敵なお店なのです。

この夜は料理はお任せコース¥2,800-。内容は”あん肝煮付け””自家製さつま揚げ””馬ヒレ刺””スルメイカしょっつるバター炒め””馬ヒレステーキ””おでん盛り合わせ””〆のご飯”と、どれもお酒に合う、喉と腹が同時に鳴り出すようなモノばかりです。
日本酒は杉勇小松人と冷酒で頂いたあと、奥播磨をお燗で。
03_20201204123801 燗酒は写真のような二重構造の酒器で供され、客が好みの温度でいただく方式。
燗酒というのは洗物が増えるだけでなく、ときどき燗具合についていろいろ言う客がいてお店としてはメンドウなことも多いと思うのですが、この方式は客が燗具合を自分で調整するので問題なし。
最後は不老泉を燗で。

私:奥播磨のあとだからどうかと思ったけれど、しっかりした良いお酒ですね。
店主:ウチはそういったお酒が好きで、奥播磨でも真ん中くらいかもしれないですね。

見れば日本酒のメニューは軽めのものから濃いものへと順番に並べて書いてある。
実はその日にあるほとんどのものが”お任せ”に含まれていて、言い換えるとメニューの数はそれほど多くないのです。
バーか喫茶店の後に居抜きで入ったような店内は改装もほとんどいじっていないみたいだし、この「やらないことをしっかり決めました」的な無駄の無さが気持ちいい。
立地も古いビル(店主いわく”秘境ビル”)で、しかも二階だから家賃も安いのかも知れず、そういったことがコスパの良さにもつながっているのでしょう。

トイレはビルのフロアで共用(男女も共用・注)というこれまた昭和な建物のお店であるにもかかわらず、若い女性客もチラホラやってくるような、独特な魅力をたたえたお店なのです。

注:トイレは明るく清潔です。

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2021.02.01

かんすけ用のフタを作ったんですよ。

かんすけ TK-Ⅱ型を購入後、幸せな燗酒ライフを楽しんでおります。
普段はちゃぶ台の上に置きっ放しなのですが、ここでひとつ問題点が出てきました。

槽内にホコリが入るのです。

さすがに毎日使うわけでもなく、従って毎日洗うわけでも無いので、気が付くと少しですがホコリが溜まっているのです。
飲食店であれば毎晩使うので布巾などを掛けておけば良いと思うのですが、私的にはほぼ週末のみの利用なので、もう少ししっかりした予防策をとりたい。

そこでフタを作ることにしました。

材料は近所の材木店の店先で売られていた端切れの松材を購入。松の木は油を含んでいて水周りで使用するのに向いているというし、十分な厚みを持った木材を少量で購入することが出来ました。

00_20210119124501まずは材料をかんすけ本体と同じ寸法にカットします。
テーブルソーを使えば厚みのある木材もラクラク、そして正確に切ることができます。


この工作の一番の難関は、新たに作るフタの色を本体と同じ色合いにすることです。

本内側は木材を漆塗り風?に塗装してあり、かつ少し使い込んだような風合いまでかもし出しています。
本体とは別に製作するフタの方を同じ色・風合いに仕上げるのはなかなか難しいのです。
過去の経験上塗料の染み込みが悪い松材を選んだ理由のひとつが、塗料を一度にをたっぷり染み込ませるのではなく、様子を見な がら何度も塗り重ねて徐々に色を近づけていく方法を考えていたからなのです。

Photo_20210124081701塗料は当初オイルステインを予定していましたが、近所のホームセンターでは良い色が売っておらず、代わりにカラーニスを使うことにしました。
本体側の塗装色に近い「マホガニー」と、こげ茶色の「エボニー」の二色を混合し、様子を見ながら塗っていきます。
01_20210119124901マホガニーを中心とした一回目の塗装が終わった状態。
思ったより本体側に近い色合いになりましたが、当然一度で満足の行く色合いにはなりません。



03_20210119124901テストピースで重ね塗りの効果を確認したり、二色の割合を変えたりしたりしながら塗り重ねて行きます。
カラーニスは色ムラが出やすい塗料なので、そのあたりも注意・修正しながら進めます。

003_20210125090301徐々にエボニーの割合を高めながら、三回目でこのような感じ。
この後さらにエボニーの割合を高めつつ、しかしニスの濃度は薄めながら数回塗り重ねました。



04_20210124083201仕上げに全体に#1000の耐水ペーパーを軽~くかけてツヤを落としたら塗装は終了。
かなり本体側に近い色合いにすることが出来ました。



02_20210127131001 最後に「いつか何かに使うかも」と思い、その昔アンティークショップみたいなところで購入したツマミを取り付けて完成です。

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2021.01.23

コロナとルンバとリモートワーク その5 最終回

前回「コロナとルンバとリモートワーク 4」での調査結果から、
「直線距離を長くすることが解決策になるのではないか」という推定を行いました。
直線距離が長くなれば清掃時間が長くなり、結果として清掃エリアも広がるのではないか。
というワケです。

02_20201116105901実際の清掃においては、ルンバの走行の妨げとなる電源コードやごみ箱などは邪魔にならない位置へ移していたのですが、「直線距離」という視点で見ると、「ちゃぶ台」が大きな障害となっていました。
ちゃぶ台の宿命とでも言いましょうか、部屋の中心に置かれていたわけです。
ルンバはちゃぶ台の下を通過できるのですが、脚が四本あるためにルンバがこれに当たって向きを変えるので直線距離が稼げなくなります。

Photo_20201116110101 そこで今回はこのちゃぶ台を片付けることにしました。
これによって直線距離は最長でとなり、清掃時間も長くなることが期待されます。
直線距離は最長で4.3m。結果は以下の通りです。
平均清掃時間は対策前の30分から36分へと20%長くなり、×(清掃しないエリア)の発生する確率は52%から47%へ低下と一定の効果がありました。
しかし注目すべきは×の発生しているエリアです。

玄関は×がゼロで和室は2回ですが、キッチンが11回と、キッチンに集中しています。
つまり清掃時間が長くなった結果、玄関と和室が清掃される確率は大幅に上昇したものの、キッチンについては逆に×の発生する確率が大幅に上昇したのです。
我が家のルンバにはマッピング機能が搭載されていませんので、ルンバが洋室から他のエリアへ行くか行かないかは、偶然によって決まると言って良いと思います。
清掃時間が長くなったので、各エリアへ「偶然行く」確率が上がったものと考えられます。

 
No. 洋室 和室 キッチン 玄関 時間 ○の数 ×の数
1     ×   23 0 1
2         33 0 0
3         24 0 0
4     ×   48 0 1
5     ×   28 0 1
6         52 0 0
7     ×   27 0 1
8     ×   47 0 1
9         33 0 0
10         53 0 0
11   ×     18 0 1
12     ×   37 0 1
13         30 0 0
14         47 0 0
15     ×   36 0 1
16     ×   28 0 1
17         40 0 0
18   ×     12 0 1
19         41 0 0
20     ×   31 0 1
21     ×   40 0 1
22         41 0 0
23         39 0 0
24         44 0 0
25         45 0 0
26         34 0 0
27         30 0 0
28     ×   30 0 1
29         38 0 0
30         48 0 0
×の数 0 2 11 0 0 0 13
平均         36 120%  
最長         53    
最短         12    
×の確率 0% 7% 37% 0%     43%


ではなぜキッチンだけ行かなくなったのか?

001_20201027092701 002 初回の調査との違いはちゃぶ台がなくなったことだけなので、これと関連していることは間違いなさそうです。
キッチンエリアの入り口は他のエリアと比較して一番狭く、ルンバがやっと通り抜けられる程度です。
入り口が狭いということは、ルンバが偶然そこへ入り込む確率も低くなります。
ちゃぶ台があったときはちゃぶ台がキッチンエリアの入り口に近く、ちゃぶ台の足に当たったルンバが向きを変え、たまたまキッチンエリアへ向かう可能性が高かったものと推測しました。
ちゃぶ台が無くなると、ルンバがキッチンエリアへ向かう確率が下がる理由は不明ですが、とりあえずキッチンエリアの入り口を広くすることにしました。
玄関エリアも入り口は比較的狭いのですが、見ていた限りではルンバはスタート後に最初に右側に曲がるようで、そのため玄関エリアへ向かう確率が高くなっているようです。

で、以上の処置を行った結果は下の表のとおり。
30回清掃して×は3回。
ほぼ完璧に掃除されるようになりました。

No. 洋室 和室 キッチン 玄関 時間 ○の数 ×の数
1         64 0 0
2         42 0 0
3         34 0 0
4         39 0 0
5         45 0 0
6         52 0 0
7         59 0 0
8         53 0 0
9         25 0 0
10         67 0 0
11         57 0 0
12         39 0 0
13         46 0 0
14         40 0 0
15         39 0 0
16   ×     32 0 1
17         34 0 0
18     ×   26 0 1
19         46 0 0
20         54 0 0
21       × 50 0 1
22         47 0 0
23         38 0 0
24         53 0 0
25         45 0 0
26         46 0 0
27         83 0 0
28         22 0 0
29         30 0 0
30         46 0 0
×の数 0 1 1 1 0 0 3
平均         45 125%  
最長         83    
最短         22    
×の確率 0% 3% 3% 3%     10%

結論として、マッピング機能の無いルンバは、走行時の直線距離を長くすると清掃時間が長くなり、結果として清掃エリア全体を走り回る確率が上がる。みたいです。

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«新しい酒燗器を購入したんですよ。