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2006.01.17

山手線シリーズ:鶯谷駅

yamanote2昨夜は鶯谷駅を降りて徒歩数分。
根岸にある「鍵屋」という居酒屋へおじゃましました。

鶯谷の駅は多分初めて降りたと思うのですが、駅の片側には上野公園のうっそうとした木々が茂り、反対側はラブホテルが林立しています。
南口を出て坂道を下ると、ホテル街の片隅に小さな飲み屋小路があります。
ちょっとのぞいて見ると、小路の奥は迷路のようになっており、まだ明かりが灯っているお店は少ないようです。
表通りに出てくると、早くから開いているお店の前、道端で焼かれている焼き鳥で早くも一杯やっているお父さん達が数人。

雰囲気が出てきました。

しかし今夜目指す「鍵屋」は大きな通りを渡った向こう側、住宅街の中にあるはずです。
なぜこのお店を目指すかというと、私がよく参考にしている太田和彦氏の本で、「鍵屋こそ東京の居酒屋の真髄」と絶賛されていたからです。
太田氏紹介のお店は、だいたい”当り”のことが多いのですが、その中でもこれだけ絶賛されているお店も少ないのです。
そんなワケでいったいどれほどのお店なのか、この目で確認したくなったのです。

kagiya大通りを渡り狭い道を一本入るとそこは静かな住宅街。
薄暗い道の両脇に比較的古い家が立ち並び、これまた迷路のようです。
「鍵屋」はそんな路地に”ポツン”と灯をともしていました。

大正時代の建物という店の構えは、”酒”と書かれた暖簾が出ていなければ、伝統芸能の師匠の家かなにかと勘違いしそうな、上品な風格と落ち着きを備えています。

「女性だけの客はお断り」

ということらしいので、もしかしたら口うるさいお店なのかもしれません。
男性の私もやや緊張気味に引き戸を開けました。

ガラガラ・・・。
私:「一人。」(と一指し指を立てる)
店主:「どうぞ、こちらへ。」(とカウンターへ案内)

決して広いとは言えない店内。
そこには年季の入ったカウンター、大昔の酒類の看板や「鍵屋」の文字が入った大きな徳利。
どれもこれも素晴らしく磨きこまれており、古さは感じさせてもボロさは感じさせません。
それどころか美しささえ感じさせます。
カウンターの奥には銅で出来た燗つけ器が鎮座しており、その前で常連と思われる一人客が静かに徳利を傾けています。
小上がりでは3人組が、これまた静かに話しながら飲んでいます。

メニューは小さな木の板に書かれたものが十数種類。
まずはビンビール(大)をお願いし、一息つきます。
お通しは豆を煮たもので、店内の雰囲気と相まって懐かしい味です。
その後カマボコと焼き鳥(皮)をオーダー。
カマボコと共に出された醤油皿は小さく、昔ながらのモノを大切にする気風が感じられます。
普段は「ケチるなよ。」とか言いつつ醤油をドボドボと皿に注ぐ私ですが、この夜はかなり控えめに注ぎました。

他のお客さんもポツポツと入ってきて、少しずつ活気が出てきたころ、店主が話しかけてきました。
店主の話によると、最近公開された映画「三丁目の夕日」のスタッフが、映画に登場する昔の居酒屋のモデルとして取材に来たとのこと。

「映画を観たけど、小雪さんは昔私が小学生の頃、永井荷風が連れて来た女性によく似ていたなぁ。」
と話す店主。
さすがに創業が安政三年(1856年)だけあって、すごい歴史を感じさせます。

ビールが空になり、そろそろ次を頼みます。
他のお客さんのオーダーの内容などから、この店の名物と推察される

”鰻のくりから焼き”をオーダー。

それと忘れてなるものか”熱燗”。
櫻正宗をお願いし、カウンターの木目なぞを眺めながらしばしボーっと・・・。
店主は燗つけ器に入れた徳利の位置を数回移動させ、ちょうど良い温度になるように調節しています。

コレだよな~、コレ。

手間をかけて作られた燗酒は格別です。

〆は”湯豆腐”
ちゃんと一人前で用意されており、しかも豆腐自体が箸でつまめるしっかりとしたモノ。
(前にも書いたかもしれませんが、私は湯豆腐を一人前から注文できる店が大好きなのです。)

ああ、こんなすばらしい店があったとは。
しかも比較的会社から近いし、通ってしまうこと間違い無しです。

”煮こごり”も食べたかったけれど、どうせまた来るし。
ほど良く酔っ払った時点で、サッと店を後にしたのでした。

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コメント

出ましたねえ。
いきなり鶯谷とは意表をついた場所でした。
今日に限っては店の中の写真がとても見たいところ。
宅間先生が一人静かに小上がりで手酌やってそうですね。
控えめに醤油を注ぐところが大人を感じさせて渋いです。

投稿: TODO | 2006.01.17 21:30

どうせまたくるし・・程良く酔ったところでさっと帰る・・
う~ん、大人!
これがなかなか出来ないから、私は大人になれないんですねぇ。

どうして女性だけのお客はダメっていうんでしょう、もう!プンプン(たまお)

投稿: hirorin | 2006.01.19 14:12

>>TODOさん
いやーあの燗つけ器はぜひ写真に撮りたかったのですが、さすがに気後れしてしまいました(^_^;)

>>hirorinさん
んー、「女性のみお断り」の趣旨は不明ですが、他にも同様のお店を何軒か知っています。
多分ですけど、「キャァキャァ騒いで他の客に迷惑」とか、いきなり「ウーロンハイ無いんですかぁ?」とか聞く客がいるので、店としては「メンドクサイからお断り」ということなんでしょうね。
「女性のみ」だけでなく「めんどうを見ないといけない客はお断り」ということなんだと思います。

投稿: FUKAWA | 2006.01.19 23:23

↑じゃあ、カッコがきで「4合以上日本酒飲める女性は可」ってつけてくれないかな・・

投稿: hirorin | 2006.01.21 20:47

>>hirorinさん
ナハハ、まぁこのお店も、(多分ですけれど)はじめは男性と何回か行って、お店に認められれば女性のみでも可になるかもしれません。

投稿: FUKAWA | 2006.01.21 21:12

手間をかけて作られた燗酒ってほんとよいですよね~。思わず膝を打ってしまいました!

投稿: aiai | 2006.01.22 00:38

んー、そうでしょそうでしょ。
古いお店にはお店によって様々な燗つけ器があるのも楽しいです♪

投稿: FUKAWA | 2006.01.22 09:21

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