小料理 なみ にて東洋美人を味わう。
梅雨も後半に入り蒸し暑くなってきた今日この頃。
いつものように仕事を終えると足早に向かうのは小倉の飲み屋街。
今宵うかがうのは紺屋町の「小料理 なみ」です。
開店直後の時間帯だけに先客は無し。
ひとり酒宴を張ることにします。
カウンター席に陣取るとまずは”キリン・ハートランド”で準備運動です。
クゥ~、いいね、労働の後の一杯は。ツマミはお通しに加えて”フツウサラダ”です。
この”フツウサラダ”は、私がダイエットに励んでいる時期に大将にお願いして作っていただいた「普通の野菜サラダ」が定番メニューに進化したものなのです。
時々メニューを見て、
「フツウサラダって何ですか?」
と聞いているお客さんを見ては、私としては心の中で小さくガッツポーズしているのです。さてお次は日本酒に移行し、”南 純米吟醸”に”お刺身盛り合わせ”。
上品で、そして美しく引かれたお刺身をアテに、チビチビと呑み進む時間の幕開けです。
”南”はやはり純米吟醸に限るなぁ~。
と、あらためて思い始めた頃には盃が空に。このあとは静岡の銘酒”開運”に進むのがいつものパターンです。
お酒のネーミングというのはなかなか大切で、私が焼酎になじめない原因はもしかしたらここにあるのかもしれません。
”大魔王”とか”黒サソリ”はたまた”元老院”なんかよりは、やはり”開運”の方が気分的に良い。そんなどうでもよいことに思索をめぐらせつつ、三杯目は”東洋美人 ippo”
をお願いし、合わせるツマミは”チーズパオ”です。
東洋美人というお酒を知ったのは十年以上前(東京勤務時代)で、当時は今より少し味の濃い感じの、燗が似合うお酒だったと思います。
わりと好きで飲んでいたのですが、そこはやはり山口県のお酒。関東よりも九州のほうがグッと手に入りやすいワケです。
ところがいつの頃からか、味が変わってきた。
日本酒は雑誌などで取り上げられてちょっと人気が出てくると、その後味が落ちる銘柄がよくあるように思います。
あくまでも個人的な意見ですが、その兆候としては、
・同じお酒の中で種類が異常にたくさん増えること。
・輸出がはじまること。
だと思っています。
製法上毎年同じ味のものを造ることすら難しいのに、やたらと種類を増やしても意図したものが出来るのだろうか?
輸出で日本の文化である”酒”を世界広めるのは賛成ですが、それで国内が品薄になっては本末転倒ではないのか?
と思うのです。
で、この夜3杯目の東洋美人も一時期いろいろと種類が増えて、最後はラベルで田んぼの番地を表す銘柄までもがが登場しました。酒米の違いくらいならともかく、田んぼの番地まで細分化されても普通の消費者にはその違いはわからないのです。
その後2013年に天災にあい田んぼが崩れてしまい、しばらく姿を見かけなかったのですが、数年前に「原点」と銘打ったお酒が登場。
災害からの復興を祈りつつ飲んだものの、正直な感想として味はいまひとつでした。そして最近出てきた「東洋美人 ippo」
原点から一歩ずつ歩み始めたという意味のippo。これが素晴らしく美味しい。
しっかりとした土台の上に今風のすっきり感がフワリとかぶさり、文字通り美人が薄化粧したような美しい味のお酒に仕上がっています。
正直、昔の東洋美人よりも良くなった。
何杯飲んでもあきが来ないスッとした舌触りが、造りの確かさを物語っています。
だまって盃を傾け、生産すら出来なくなってしまう状況からここまでに至る蔵元さんの努力は、経営の面も含めて並大抵なものではなかったであろうと想像すると、目頭が熱くなってきます(年のせいか最近涙もろくなっています)
山口県の銘酒復活です!。
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コメント
焼酎も名前で嫌わず飲んでくださいね。
いつか一緒にいかつい名前の焼酎を飲んでみたいものです。
投稿: も | 2016.07.10 20:39
>>も さん
ん?もしかして焼酎に目覚めた?!
投稿: FUKAWA | 2016.07.10 22:56
ご無沙汰しております。
「お酒のネーミング・・・」のくだりが笑えました。
たしかに、日本酒に怖そうな名前はないかも。
ベランダカウンターも素敵ですね。
生活を楽しんでいますね!
投稿: まーちん | 2016.07.24 23:39
>>まーちんさん
夏の夜のベランダカウンターで涼むのは最高です
投稿: FUKAWA | 2016.07.30 18:04