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2017.10.15

都城市の夜に、いぶし銀の星が二つ。  後編

都城市での二軒目は、小倉のbar raisinで教えていただいたお店へと向かいます。
調べてみたら電車で一駅、西都城駅の方にあるようですが、電車の本数は思ったより多くて一安心です。
その西都城駅へと移動し、駅前に設置された地図を見てみると、目的地が先ほどのお店で聞いた”一番の飲み屋街”である牟田町であることが判明。

ところが・・・・

目的地までの道のりは街灯もない真っ暗な道が続きます。
少し歩いたところでやっといくつか明かりが見えてきました。
とはいえあまり華やかとは言えない飲み屋街。その一角の、おそらくこの辺りではランドマーク的になっているものと思われる大き目の飲食店ビルに、目指したお店はありました。

Photo SHOT BAR トロアジェームオム

扉を開けると先客は無し。
まっすぐなカウンターとテーブル席が2つ。

マ:いらっしゃいませ
私:こんばんは。えっと・・・。
マ:どうぞ、真ん中へ。

まずは”ジン・トニック”をお願いしたところ実にシャープな味わいで喉越しがバツグン。

その味に、
「このお店、いい店だ。」

と確信し、改めて店内を見まわします。
バックバーには数百本のボトルが鎮座しています。
意外にも古いお店ではない様子で、マスターも重鎮クラスかと思いきや、お歳は60手前と思われる。

マ:ご出張か何かで?
私:ハイ、小倉から。向こうでraisinのマスターにこのお店を教えていただいたものですから
マ:あー、林さんね。そうですかそうですか。
私:”トロアジェームオム”とはどのような意味なんですか?
マ:「三番目の男」という意味なんですよ。
  一番がお客さん、二番目はバーの雰囲気、三番目にバーテンダー。
  私はそれで良いと思っているんですよ。


そんな会話をしつつ、二杯目は”ホワイトレディー”を注文。
独特な長く丁寧なシェイクの後に供されたカクテルは、やさしさを感じさせる味わい。

マスターによると、最初は現在と同じような普通のサイズのお店をやっていたのだが、その後しばらくして世の中の景気とともに経営を拡大。
かなり広いお店で人も何人か使って酒場を営んでいた時期もあったとか。
しかし結局は、自分の理想と違った方向へ向かっていることに気づき、数年前に原点に戻るようにして現在のお店を開いたそうである。

いぶし銀のマスターのお話を聞きつつ最後は”マティーニ”でキュッと締めたのでした。

めったに訪れることのない都城市。
そこで出会ったいぶし銀の酒場の主二人。

「何か理由を作って、また来たい。」

そう思わせる静かな街なのでした。

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2017.10.08

都城市の夜に、いぶし銀の星が二つ。  前編

01_2 宮崎県都城市。
JR日豊線で鹿児島市と宮崎市のちょうど中間にあるこの街には、なかなか訪れることがないであろうと思っていました。
鹿児島市や宮崎市ですら仕事はあまり無く、「遅くなって帰社できない」という理由で数年に一度宿泊する程度なのです。
なのでその中間点にある都城市に宿泊することはまず無いであろうと思っていたのです。

そんなある日、ふとしたことから都城市にある”霧島酒造”へ仕事で訪問することになったのです。

小倉から車で移動すること4時間半。
都城市の居酒屋に関する情報はゼロです。

ホテルで一息ついてから、とりあえず駅前へと行ってみます。
コンクリート造りでレトロな感じの都城駅。
その左側に小さな飲み屋街が広がっていました。
日没前の時間帯に通りをのぞき込むと、飲食店の看板はわりと近くまでしか連なっていません。

02 飲み屋街全体がたいした面積でもないことを悟りつつ、まずは隅から隅まで歩いてみます。
居酒屋、BAR、料理屋、スナック、etc
いろいろなお店がありますが、そろそろ開店する居酒屋形態のお店はどこも「入りやすい感じ」です。
店の前にその日のオススメメニューを張り出していたり、どんな食材・料理をメインとしているのか、ワイワイやるタイプなのか少人数向けなのかといったことがわかるような店構えのお店が多い。

しかしまぁ、都城といえばやはり焼酎の霧島になっちゃうんだろうなぁ・・・。

などと思いつつ探索していると、通りの角に小綺麗な店構えのお店を発見しました。
オーラを感じて近づいてみると、日本酒に力を入れていることがありありとわかります。
なかばあきらめていた日本酒メインのお店に心をときめかせつつ、もうすこし観察してみます。
「日本酒メイン」を掲げるお店には失敗例も多いからです。
 ・店主がウンチクを語り、押し付けてくる。
 ・そもそも銘柄の種類が少ない(販売店のいいなり)
 ・常連でガチガチに固められている。
などがその例です。

03最初は遠くから、そして徐々に近づいて見ていくと、窓の内側に並べられた一升瓶の銘柄に”南・純米吟醸””鍋島”などがあること、そしてそれらの一升瓶はこのお店の外観・内観と一体となるべく、建築の一部としてレイアウトされている(ようするに洒落た感じだ)ことに気づきました。

比較的新しそうな看板には「日本酒BAR 酒縁 本郷」とあります。

きっと良いお店だ。
そう確信し引き戸を開けます。

ガラリ・・・

いらっしゃいませ。

と、マスター。
髪はロマンスグレーで口ひげが似合っている。
文学や芸術にも触れていて、間違っても客に酒のウンチクを押し付けたりはしないタイプに見える。
店内はBARというよりは普通の和食のお店の雰囲気で安心できる。
先客は無し。

私:えっと、どこでもいいですか?
マ:はい、どこでもお好きなところへ。

まずは”生ビール”をお願いし、さっそくメニューに目を走らせます。
日本酒は奇をてらったようなものはなく、基本的なところが充実している。
ツマミ類も塩辛系から干物、腹にたまるものまで揃っていて文句なしだ。

まもなく女将さんの手によって”生ビール”と”お通し”が到着。
お通しはチクワに手を加えたものやキビナゴの干物など三品が上品に並んでいる。

見慣れない客を出張サラリーマンと見抜いたマスター。

マ:失礼ですが、どちらから?
私:小倉からです。
女将:お仕事ですか?
私:ハイ、明日霧島酒造さんへ。
マ:ホウ、霧島さんの関係ですか。
私:関係といいましても、設備の方(酒の販売ではなくて)です。
マ:ああ、それじゃあ今建設中の・・・。
私:そうです、バイオマス発電の・・・。
女将:すごい規模で工事していますね。私、出勤のとき毎日霧島酒造さんの前を通ってくるんですよ。

「私たち」と言わないところを見ると、マスターと女将さんは夫婦ではないのかな?
などとどうでもよいことを考えつつ、日本酒へ移行します。
まずは”天狗舞”と、ツマミに”ツブ貝ワサビ”をお願いします。

んー、やはり落ち着くなぁ。日本酒は。

マ:普段はどのような日本酒を?
私:地域でいえば静岡のお酒が好きです。あと山形も。
マ:静岡のお酒はなかなか手に入らないなぁ

というわけで二杯目は”山形正宗

女将:霧島酒造の社長さんもいらっしゃるんですけど、案外日本酒好きなんですよ(笑)
私:へぇ~、そうなんですか。まぁさすがに自社のものばかりでは飽きるでしょうからね。

最後に”鍋島”をぬる燗でお願いし、同時に”朝取れ鶏のタタキ”も注文します。

ぬる燗でいただく”鍋島”と、旨みたっぷりの鶏のタタキに思わず笑みがこぼれる。

マ:都城は初めてですか?
私:ええ、初めてです。この辺りが飲み屋街の中心なんでしょうか。
マ:この辺りはスナックとかも全部合わせて100軒くらいで、少し離れた牟田という地域が500軒くらいでしょうかね。

落ち着いた店内でゆっくりと流れる時間を楽しみつつ、初めての街でまた一軒良いお店を発見した喜びに浸るのでした。

後編へ続く。

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