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2017.10.08

都城市の夜に、いぶし銀の星が二つ。  前編

01_2 宮崎県都城市。
JR日豊線で鹿児島市と宮崎市のちょうど中間にあるこの街には、なかなか訪れることがないであろうと思っていました。
鹿児島市や宮崎市ですら仕事はあまり無く、「遅くなって帰社できない」という理由で数年に一度宿泊する程度なのです。
なのでその中間点にある都城市に宿泊することはまず無いであろうと思っていたのです。

そんなある日、ふとしたことから都城市にある”霧島酒造”へ仕事で訪問することになったのです。

小倉から車で移動すること4時間半。
都城市の居酒屋に関する情報はゼロです。

ホテルで一息ついてから、とりあえず駅前へと行ってみます。
コンクリート造りでレトロな感じの都城駅。
その左側に小さな飲み屋街が広がっていました。
日没前の時間帯に通りをのぞき込むと、飲食店の看板はわりと近くまでしか連なっていません。

02 飲み屋街全体がたいした面積でもないことを悟りつつ、まずは隅から隅まで歩いてみます。
居酒屋、BAR、料理屋、スナック、etc
いろいろなお店がありますが、そろそろ開店する居酒屋形態のお店はどこも「入りやすい感じ」です。
店の前にその日のオススメメニューを張り出していたり、どんな食材・料理をメインとしているのか、ワイワイやるタイプなのか少人数向けなのかといったことがわかるような店構えのお店が多い。

しかしまぁ、都城といえばやはり焼酎の霧島になっちゃうんだろうなぁ・・・。

などと思いつつ探索していると、通りの角に小綺麗な店構えのお店を発見しました。
オーラを感じて近づいてみると、日本酒に力を入れていることがありありとわかります。
なかばあきらめていた日本酒メインのお店に心をときめかせつつ、もうすこし観察してみます。
「日本酒メイン」を掲げるお店には失敗例も多いからです。
 ・店主がウンチクを語り、押し付けてくる。
 ・そもそも銘柄の種類が少ない(販売店のいいなり)
 ・常連でガチガチに固められている。
などがその例です。

03最初は遠くから、そして徐々に近づいて見ていくと、窓の内側に並べられた一升瓶の銘柄に”南・純米吟醸””鍋島”などがあること、そしてそれらの一升瓶はこのお店の外観・内観と一体となるべく、建築の一部としてレイアウトされている(ようするに洒落た感じだ)ことに気づきました。

比較的新しそうな看板には「日本酒BAR 酒縁 本郷」とあります。

きっと良いお店だ。
そう確信し引き戸を開けます。

ガラリ・・・

いらっしゃいませ。

と、マスター。
髪はロマンスグレーで口ひげが似合っている。
文学や芸術にも触れていて、間違っても客に酒のウンチクを押し付けたりはしないタイプに見える。
店内はBARというよりは普通の和食のお店の雰囲気で安心できる。
先客は無し。

私:えっと、どこでもいいですか?
マ:はい、どこでもお好きなところへ。

まずは”生ビール”をお願いし、さっそくメニューに目を走らせます。
日本酒は奇をてらったようなものはなく、基本的なところが充実している。
ツマミ類も塩辛系から干物、腹にたまるものまで揃っていて文句なしだ。

まもなく女将さんの手によって”生ビール”と”お通し”が到着。
お通しはチクワに手を加えたものやキビナゴの干物など三品が上品に並んでいる。

見慣れない客を出張サラリーマンと見抜いたマスター。

マ:失礼ですが、どちらから?
私:小倉からです。
女将:お仕事ですか?
私:ハイ、明日霧島酒造さんへ。
マ:ホウ、霧島さんの関係ですか。
私:関係といいましても、設備の方(酒の販売ではなくて)です。
マ:ああ、それじゃあ今建設中の・・・。
私:そうです、バイオマス発電の・・・。
女将:すごい規模で工事していますね。私、出勤のとき毎日霧島酒造さんの前を通ってくるんですよ。

「私たち」と言わないところを見ると、マスターと女将さんは夫婦ではないのかな?
などとどうでもよいことを考えつつ、日本酒へ移行します。
まずは”天狗舞”と、ツマミに”ツブ貝ワサビ”をお願いします。

んー、やはり落ち着くなぁ。日本酒は。

マ:普段はどのような日本酒を?
私:地域でいえば静岡のお酒が好きです。あと山形も。
マ:静岡のお酒はなかなか手に入らないなぁ

というわけで二杯目は”山形正宗

女将:霧島酒造の社長さんもいらっしゃるんですけど、案外日本酒好きなんですよ(笑)
私:へぇ~、そうなんですか。まぁさすがに自社のものばかりでは飽きるでしょうからね。

最後に”鍋島”をぬる燗でお願いし、同時に”朝取れ鶏のタタキ”も注文します。

ぬる燗でいただく”鍋島”と、旨みたっぷりの鶏のタタキに思わず笑みがこぼれる。

マ:都城は初めてですか?
私:ええ、初めてです。この辺りが飲み屋街の中心なんでしょうか。
マ:この辺りはスナックとかも全部合わせて100軒くらいで、少し離れた牟田という地域が500軒くらいでしょうかね。

落ち着いた店内でゆっくりと流れる時間を楽しみつつ、初めての街でまた一軒良いお店を発見した喜びに浸るのでした。

後編へ続く。

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コメント

お久しぶりの更新、嬉しく読みました。
いつもの、お店の人とのやりとりが、良いですね。(^.^)とっても良い雰囲気が伝わります。
fukawaさんの、お店見つける鋭い嗅覚、さすがです。そして、日本酒メインのお店の注意点、わかりました(^-^)ゝ゛
つぶ貝のワサビ、すっごい美味しそう。
好きです。あと、鶏のタタキを鍋島のぬる燗とは、素敵です。焼酎お湯割りにいきそうですもんね。今度、鶏のタタキ食べるとき、ぬる燗、チャレンジしてみたいです。

投稿: pon_shu | 2017.10.28 12:49

>> pon_shuさん
これからはいよいよ燗酒の季節ですからねぇ~( ◠‿◠ )

投稿: FUKAWA | 2017.10.29 19:08

FUKAWAさんの、ブログの更新を待っていました!

またいいお店を発見されたんですね。

FUKAWAさんが静岡のお酒がお好きだとは知りませんでした。

中部地方に住んでいながらも、静岡のお酒には、あまりご縁がなかったので、今度、飲んでみようと思います。

投稿: にゃんこ | 2017.11.12 15:24

>>にゃんこさん
静岡のお酒はどれもおいしいですが、私的には喜久酔(きくよい)や開運、高砂なんかが大好きです。

投稿: FUKAWA | 2017.11.14 12:51

FUKAWAさん、教えてくれてありがとうございます。
今度、飲んでみます!

投稿: にゃんこ | 2017.11.18 15:09

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