bar nidoでラム酒の世界に浸る。
雨が音もなく降る夜。
そんな夜は小倉の飲食店街にも人影はまばらです。
しかしこのような人の少ない晩こそ、静かなBARでゆっくりと過ごすのには最適なのです。
古めかしい飲食店ビルの2階の一番奥。
夜八時になるとほんのりとした明かりが看板に灯ります。
bar nidoです。
開店時間を狙ったかのように、ギッ・・と扉を開けると、
「いらっしゃいませ」とマスターの歯切れの良い声。
カウンター席に腰を落ち着け、まずは”ジン・トニック”をお願いして一息つくことにします。
木材の柔らかさやぬくもりを感じさせる店内は、カウンター7席と他に小さなテーブル席。目の前で進められるマスターの丁寧な仕事ぶりにゴクリと喉を鳴らしながら完成を待ちます。
ジンはボルスを使われており、かすかな苦味の後に爽やかさが追いかけてきます。そのジン・トニックを味わうと、一日の疲れが洗い流されて行きます。
このお店の特徴はラム酒を80種類以上、ジンも数十種類置いていることです。
ラムやテキーラをたくさん置いているお店というのはなかなかなくて、稀にあっても店主が”レゲェスタイルの兄ちゃん風”だったり、あるいは結構な高級店だったりとどうも波長の合わないケースが多いのです。
しかしこのお店bar nidoは、しっかりとしたBARのスタイルで、マスターもまじめそのもの。
ラム酒の奥深い味わいに安心して浸れるというわけです。
マスターはお酒を愛するあまり50歳を過ぎてからサラリーマンを辞め、専門のスクールで学びこのお店を独立開業するまでに至ったという、少し変わった経歴の持ち主です。
カウンターの片隅には地球儀が置いてあり、ラム酒の産地についてマスターが説明をしてくれます。
ラム酒というとすぐにキューバが思い出されますが、実は中南米の各国で作られていて、思いのほか生産国の数が多いのに驚きます。
地球儀にはコロンブスはもちろん、マゼランやバスコダ・ガマの肖像とその航路も記されていて、大航海時代のロマンを感じさせてくれます。
中米のほとんどの国がかつてはスペイン領であったこと、極めて小さな島が一つの国だったりすることなど、お酒を飲みながら地理や歴史の学習も出来るのは楽しく、また得をした気分でもあります。
お酒や食べ物を見るとすぐに値段の話になる人がいますが、どんな国で、どんな人が作っているのか、どんな歴史があるのか・・・。
そんなことが案外しっかりとした隠し味になったりするものなのではないでしょうか。
私:「火曜日は飲みすぎて翌朝もグロッキー状態でしたよ。」
マスター:「ハハハ、ところでグロッキーの語源は、イギリス海軍のグロッグ提督という人物からきているんですよ。」
私:「ホゥ、それは初めて聞きました。」
マスター:「昔の航海では水の代わりに保存のきくお酒を大量に・・・」
などと話しつつ、マスターおすすめのラム酒を少しずつ流し込みます。
週末にはお手伝いの美魔女系店員さんも登場し落ち着いた店内に華を添えてくれます。
屋号の”nido”はイタリア語で巣箱という意味だそうで、まさしく大人の巣箱になっている。
そんな素敵なお店なのです。
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コメント
素敵なBARですね。真面目さが伝わってきて、そして、シックな感じがまた良いですね。
お酒をゆっくり味わって、日頃の疲れもとれて、良い気分転換でしょうね。
大人ならではの、楽しみですね。
ラムトニックって、飲んだことありますか!?
どんなかんじなんだろうと思い、興味深いです。
投稿: pon_shu | 2018.05.27 16:54
>>pon_shuさん
ラム・トニック 大好きなカクテルです。
ラムの甘い香りが炭酸でフワッと広がるのが心地よいです。
その日の気分や体調により、使用するラムをホワイトラムかダークラムか指定して作っていただいています。
投稿: FUKAWA | 2018.05.29 12:41
こんばんは。ラムトニック、断然チャレンジしたくなりました。ふわっと香って!美味しそうです。
ラムの種類も色々あって、奥深いですね。
聞いてみて良かったです。ありがとうございます。
そして、ラムを飲むときは、nidoですね。
投稿: pon_shu | 2018.05.31 23:29