阿佐ヶ谷新規開拓:さけ処 彦次郎
コロナによる緊急事態宣言も解除され、新天地である阿佐ヶ谷での新規開拓もボチボチ開始しています。
阿佐ヶ谷の街は「東西南北どちらに行っても良い飲み屋がある」と言われるほどの、天国のような街なのです。
一口に「良い店」といっても、何を基準に探すのか、そして入店を決めるのか。
会社の同僚や後輩から「良い店を紹介して下さい」などと言われると、とりあえず私の「地域別飲み屋名刺ファイル」を取り出してはみるものの、正直少し困ってしまうものなのです。
その人にとって、あるいはその場面によって、「良い店とは何なのか」が違ってくるからです。聞いてきた人の考えが明確になっていないと、お店の選びようが無いのです。
単に私の好みで紹介したところで、相手にとってはイマイチであったりする可能性はじゅうぶんにあるのです。
極端なことを言えば、「高級フランス料理が食べたい!」と思っている人には、私は紹介できるお店を一軒も知らないのです。
で、私自身はどんなお店が好きかと言いますと、居酒屋の場合以下の通りなのです。
・店はあまり広くなく、個人経営。
・料理は和食中心で季節の美味しいものがちょこちょこっと。もしもの時のために丼ものとか麺類もあるとありがたい。
・お酒は日本酒で、店主の好みの銘柄が数種類以上置いてある。
・ある程度長い年月営業している。
・金額は、日本酒三合くらいを含めて¥5,000~6,000程度。
他にもいろいろありますが、お店に入る前にある程度わかることとしてはこんな感じです。
店が広くないほうが静かで落ち着けるし、個人経営の方が店主の個性が出て味わいがある。
稀に店主が恐怖政治を敷いていたり、酒のウンチクをプロパガンダする店もあるがそれはそれ。
私自身の歳も五十に近づいたので、たくさん食べるよりは、少しで良いから美味しいものをいただきたい。
日本酒は好きだし、店主とのコミュニケーションのきっかけとしやすい。
きのう今日開店したお店よりは、地域で安定した経営を続けているお店の方が信用できる。
というわけです。 そして六月のある夜、阿佐ヶ谷の飲み屋街をブラブラと歩いていて見つけたお店が、「さけ処 彦次郎」です。
私:こんばんは(とドアを開け入る)
店主:いらっしゃい(と小さな声で)
まずは”生ビール”をお願いして店内を見回します。
先週に続いて二回目の訪問となったこの夜は先客も無く、カウンター席のみの店内は静かです。
しかし新参者としては入り口に近い席へと腰を下ろします。
ホワイトボードには”カツオ刺し・タタキ””アジフライ””トマトのチーズ焼き””うるか”等々のツマミ類が並び、”素麺”や”卵入りうどん”もあります。
私:えっと、”トマトのチーズ焼き”と”マグロ切り落とし”をお願いします。
小柄で白髪の店主:(中ジョッキを差し出しながら)雨、まだ降ってます?
私:ほとんど、やみましたよ。
といった感じでポツポツとした会話が始まります。
店主はおそらく、「この人、先週初めて来た客だな。今週も来たということは、ウチの店を気に入ったのかな?」などと考えをめぐらしているのかもしれません。
”トマトのチーズ焼き”をつまみながらビールをグビグビ。
蒸し暑い宵の口には生ビールが活躍してくれます。
早速二杯目のビールと、”アジフライ”を注文。
アジフライに添えられた野菜にも、隠し味が秘められたようなドレッシングがかかっていて、一皿キレイにいただけます。
私:次は日本酒を・・・ と、店の奥にある日本酒メニューを見るために二三歩奥へ。
日本酒の銘柄は十種類くらい揃っていて、酔鯨、北雪、銀盤等々。
辛口、甘口、スッキリ、香りが良いなど、各種注文に答えるべく選んでいるようです。
そのなかから”大山”をオーダー。
片口で供された”大山”は私の好きな山形のお酒で、渋みを含んだ味わいが、マグロの脂をサラサラと洗い清めてくれます。
小さな店内でゆったりと流れる時間。
マグロを食べていると、関東に戻ってきたことを実感するなぁ~。
最後に頼んだお酒は”雪の茅舎”
店主:日本酒。お好きなんですね。(じゃないと大山はダイセンと読む人が多いし、普通、ユキノボウシャは読めませんからね・・と思っていたら私の狙い通りだが・・・)
私:ええ、何でも飲みますけど、一番は日本酒かな。
店主:ご自宅にもお酒が?
私:冷蔵庫のサイズは、一升瓶に合わせて選びました。
店主:それはそれは(笑)
夜の深まりとともに、店主との距離感も少し近づいた。
そんな楽しい夜なのでした。
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コメント
おお、伝わります!
音声のみの番組を作って、分かる人だけに聞かせたいですねえ。
投稿: ジロー | 2020.06.30 13:01
>>ジローさん
ラジオ酒場放浪記!
投稿: FUKAWA | 2020.07.04 08:14