人情の街 阿佐ヶ谷
阿佐ヶ谷の夜の街。引き続き新規開拓を進めており、暖簾をくぐったお店はそろそろ二十軒になろうとしています。
阿佐ヶ谷の飲み屋街は比較的小さくて個性のある店がぎっしりと密集しており、行きたいと思うお店がまだまだいくらでもあるのです。
そんなある夜。
この日は朝から小雨が降っており、夜の新規開拓にはうってつけの天気です。そこでもちろん、また小さそうなお店に足を踏み入れてみました。
私:こんばんは。
女将さん:いらっしゃい。どうぞどこでも。
古そうな建物の薄暗い店内はカウンター6席と小さなテーブルが2つ。
飴色に染まった壁がこのお店の歴史を物語っているようです。
メニューに目を走らせると大物はなく、ちょっとしたツマミで一杯やるスタイルのお店のようです。
店内は女将さん一人。
私:えっと、飲み物は・・・。
女将さん:メニューの裏側に・・・。
私:なるほど、あっ!
メニューを裏返すとビンビール:ハートランドと目が合いました。
何度も言いますが、「ハートランドを置いているお店に、ダメな店は一軒も無い。」のです。
当然ハートランドをお願いし、ツマミも一品お願いします。
一杯目は女将さんが注いでくれました。
女将さんと世間話などをしつつ、日本酒へ移行。日本酒を二杯ほどとツマミをもう少しいただいて、そろそろ帰ろうとしたとき・・・
財布が無い。
ということに気づきました。
記憶をたどると会社のデスクの引き出しの中に置き忘れたようです。
んー、どうしよう。初めて入ったお店だし、マズイよなぁ~。
下手をしたら食い逃げで突き出される可能性もあるし・・・。
考えあぐねてついに女将さんに事実をお話しすることにしました。
私:あのー、実はコレコレシカジカで、お金がありません。
女将さん:アラアラ。まぁいいわよ、また今度で。
私:エッ?自宅が近いから一度帰ってですね・・・。
女将さん:いいわよ、雨も降っているし。
私:エエッ!だって今日初めて来たのに。ところでおいくらなんですか?
女将さん:う~んと、¥3,250ね。」
私:そうだ、もしものときの為に、名刺入れに千円札が一枚入っているんです。ひとます今夜はこれだけでも・・・。
女将さん:いいってば、明日の朝”もしものこと”があったら困るでしょ。
なんという出来事!
この夜は人情という隠し味に心を落ち着けられて家路に着いたのでした。
翌日は当然このお店にうかがい、「まずは昨日の分です。お騒がせしました。」と¥3,250をお支払いし、何事も無かったようにカウンター席に座り、また杯を傾けるのでした。
※本当の食い逃げ事件が起きるとお店に迷惑がかかるので、店名や具体的なメニューは伏せました。
※写真もお店の場所とは別の通りです。
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