阿佐ヶ谷:やきとり 鳥久
セミの声もそろそろ聞こえなくなり、秋の虫たちが遠慮がちに鳴きだす季節。
この夜向かったのは「焼鳥 鳥久」です。
たくさんのお店がひしめく阿佐ヶ谷の飲み屋街の中でも、かなりの人気店といえます。
阿佐ヶ谷の他の飲み屋さん同様、鳥久も比較的お店が小さいので、満席で入れないこともしばしば。
「んー、もし満席だったら、別のお店へ、どこにしようかな・・・」
などと思案しつつ歩を進めると間もなくお店の前へ到着。
幸運なことにこの日のカウンター席の先客は一人だけ。
入り口付近のアルコールスプレーで手を消毒し、「一人ですけど」と伝えます。
家族経営のお店の明るい奥さんが「どうぞ、空いてますから」と白木のカウンターへ促してくれます。
私「皮とハツ、レバーを塩で、それからビンビールをお願いします。」
ビンビールをやりながら店内を観察。
カウンター席の背後にある小さなテーブル席はそれぞれ二人組みのお客で埋まり、カウンターの隣のお客さんは何か考え込むように白木の木目を見つめています。
小さなお店なのでお店の人の目が行き届かないということは無いのですが、みな好き勝手に注文するのではなく、タイミングを見計らって「注文いいです?○○と××。2本ずつで」といった感じでサッと注文。
間違っても呼びかけてから悩んだりはしていません。
焼き鳥屋さんというと典型的な大衆酒場の場合が多く、それ以外はいわゆるオシャレ焼き鳥のようなところになる傾向があると思います。
しかしこのお店「鳥久」は古くからの大人の酒場スタイルを守り抜いている、貴重なお店なのです。
大衆酒場のリラックス感ももちろん良いのだが、たまにはキリッとした酒場に行きたくなるものです。
グダグダと愚痴をこぼして長々と居座ったり、あるいは酒の力を借りて天下国家を語る無法者はおらず、基本的には皆静かに飲んでいる。
客同士も少しだけ気を使い、先輩を大切にする。
お店自体が、そんな良い先生になってくれる酒場なのです。
そして何より焼き鳥がウマイ!超絶ウマイのです。
焼き場担当は息子さんで、炭火を前にして黙々と注文をこなしています。
皮にはごく少量の塩しか振られておらず、カリカリでもニュルニュルでもない、素材のウマイ成分がジュワァ~と染み出た絶妙な焼き具合。
超レアに焼かれたレバーを口に入れれば、
「神様。ぼくはもう十分です」
とつぶやいて天国へ旅立ちそうになる恍惚状態が訪れます。
忘れてならないのは日本酒のラインナップもしっかりしていること。”大信州”など、スッキリ系からややしっかり系まで常時数種類揃っています。
こちらの担当はお父さんで、厚めのガラスのコップに静かに注いでくれるのがうれしい。
長野県や山梨県のお酒を良く見かけるのは、中央線沿線だからかな?と思いをめぐらせたりします。
かなりの常連と思われるお客さんでも「○○ちゃん、大きくなったでしょ」程度の会話でサラリと終わる。
つかず離れず、長話はしない。
おっと、コチラも長っ尻はいけない。
腹ごしらえが済んだらスッとお会計を済ませて、そろそろ二軒目へと向かいますか。
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コメント
そんなに天にも昇るぐらい美味しい焼き鳥とは!!
食べに行ってみたいです。
九州の焼き鳥とも違うのでしょうね。とろけるレバー、良いですね~。こちらでは、焼酎にあわせますもんね。鶏のお刺身、タタキ、地鶏っこ炭火焼き、、あーー思い出したら夢に出そうです。
投稿: pon_shu | 2020.09.16 23:04
>>pon_shuさん
ウーム。
確かに味付けに関しては、主なお酒との関係があるかもしれません!
投稿: FUKAWA | 2020.09.18 17:19