2020.04.04

小倉の皆さん、さようなら。

北九州市に転勤となってから12年が過ぎ、ついに、とうとうこの時がやってきました。

 

二度目の転勤で東京へ戻ることになったのです。

 

初めての一人暮らしから始まり、実にいろいろなことがありました。

確かに最初のうちは治安が悪かったのですが、その点は数年間にわたる警察当局の文字通り”命がけ”の活動により、最近はまったく心配の無い街になりました。

毎晩通った飲み屋街も、これまでにない濃密なお付き合いとなりました。

東京勤務時代はお店の常連格になっていても、二時間を越える遠距離通勤であったり、あるいは出張ベースでの訪問でした。

ところが転勤後は小倉市内に住んでいるわけですから、ある意味近所付き合いに近いものがあり、お店での話題もお酒や食べ物のこと意外に、「○○町の××の角に新しいカレー屋さんができた」とか「昨日の夜○○中学の隣で火事があった」といった情報交換も日常的に行われ、ますます居心地が良くなっていったものです。


九州で印象に残ったものが食べ物。なかでも魚はとにかく美味しかった。東京でも美味しい食べ物はたくさんありますし、種類だけ見ればむしろ東京の方が多いのです。

しかしごく普通に売られている魚が、東京とはまったく違った鮮度なり脂ののりなのです。

九州ではよく、「スーパーで売っている刺身でもウマイ」などと言うものですから、魚屋さんで買ってきた魚はもっとウマイし、釣った魚であればなおさらなのです。
お酒はてっきり焼酎ばかりが供されるのかと思いきや、日本酒に力を入れている飲食店・酒販店も十分にあり、まったく不自由しませんでした。


「こんなに楽し生活が、いつまでも続くわけが無い」と思い始めた矢先、会社から異動の打診があり、泣く泣く受け入れたのです。

 

12年間仲良くしてくださった皆様、

本当にありがとうございました!

Photo_20200404132101thumb1

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2018.04.28

bar nidoでラム酒の世界に浸る。

雨が音もなく降る夜。
そんな夜は小倉の飲食店街にも人影はまばらです。 
しかしこのような人の少ない晩こそ、静かなBARでゆっくりと過ごすのには最適なのです。

Nido古めかしい飲食店ビルの2階の一番奥。
夜八時になるとほんのりとした明かりが看板に灯ります。
bar nidoです。

開店時間を狙ったかのように、ギッ・・と扉を開けると、

「いらっしゃいませ」とマスターの歯切れの良い声。

カウンター席に腰を落ち着け、まずは”ジン・トニック”をお願いして一息つくことにします。
木材の柔らかさやぬくもりを感じさせる店内は、カウンター7席と他に小さなテーブル席。目の前で進められるマスターの丁寧な仕事ぶりにゴクリと喉を鳴らしながら完成を待ちます。
ジンはボルスを使われており、かすかな苦味の後に爽やかさが追いかけてきます。そのジン・トニックを味わうと、一日の疲れが洗い流されて行きます。

このお店の特徴はラム酒を80種類以上、ジンも数十種類置いていることです。

ラムやテキーラをたくさん置いているお店というのはなかなかなくて、稀にあっても店主が”レゲェスタイルの兄ちゃん風”だったり、あるいは結構な高級店だったりとどうも波長の合わないケースが多いのです。
しかしこのお店bar nidoは、しっかりとしたBARのスタイルで、マスターもまじめそのもの。
ラム酒の奥深い味わいに安心して浸れるというわけです。

マスターはお酒を愛するあまり50歳を過ぎてからサラリーマンを辞め、専門のスクールで学びこのお店を独立開業するまでに至ったという、少し変わった経歴の持ち主です。

カウンターの片隅には地球儀が置いてあり、ラム酒の産地についてマスターが説明をしてくれます。
ラム酒というとすぐにキューバが思い出されますが、実は中南米の各国で作られていて、思いのほか生産国の数が多いのに驚きます。
Nido_2地球儀にはコロンブスはもちろん、マゼランやバスコダ・ガマの肖像とその航路も記されていて、大航海時代のロマンを感じさせてくれます。
中米のほとんどの国がかつてはスペイン領であったこと、極めて小さな島が一つの国だったりすることなど、お酒を飲みながら地理や歴史の学習も出来るのは楽しく、また得をした気分でもあります。

お酒や食べ物を見るとすぐに値段の話になる人がいますが、どんな国で、どんな人が作っているのか、どんな歴史があるのか・・・。
そんなことが案外しっかりとした隠し味になったりするものなのではないでしょうか。

私:「火曜日は飲みすぎて翌朝もグロッキー状態でしたよ。」
マスター:「ハハハ、ところでグロッキーの語源は、イギリス海軍のグロッグ提督という人物からきているんですよ。」
私:「ホゥ、それは初めて聞きました。」
マスター:「昔の航海では水の代わりに保存のきくお酒を大量に・・・」

などと話しつつ、マスターおすすめのラム酒を少しずつ流し込みます。

週末にはお手伝いの美魔女系店員さんも登場し落ち着いた店内に華を添えてくれます。

屋号の”nido”はイタリア語で巣箱という意味だそうで、まさしく大人の巣箱になっている。
そんな素敵なお店なのです。

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2017.04.02

ベランダカウンターに石焼を導入したんですよ。

3 春がやってきました。
冬の間は寒くて使うことのできなかったベランダカウンターを再開する季節です。
朝晩はまだ肌寒いものの、昼すぎに日が差したベランダはポカポカしていい気持ち。

Photo_9
そして何より見晴らしの良い我が家のベランダカウンター。

まずはビールで皿倉山にカンパイです!




Photo_2 この日は我が家の冷蔵庫に良い日本酒が揃っていたので、食事も和食ベースとしてみました。

最初は””で腹を満たします。
西日本は丸餅オンリーかと思いきや、四角いタイプもちゃんと売っています。磯辺巻き風に海苔とチーズを巻くには四角タイプの方が都合がヨロシイ。
お酒の供としては”ソラマメ”もいい仕事をしてくれます。

Photo_3 ビールでのどを潤したら、お次は日本酒。
まずは香川県の銘酒である”川鶴 讃州オオセト55 特別純米”をグイッといきます。
気骨のある川鶴の味わい。いわゆるフルーティーなお酒も悪くはないけれど、やはりこういうしっかりとした味わいのお酒が好きだ。



Photo_4 そしていよいよ登場したものが「」です。
マンションのベランダで炎の出る器具はNG。
冬の間いろいろ考えていたのですが、ある日、出張先の居酒屋で”石焼”なる料理を見つけて小躍りしていたのです。
石は近所の川で大きさや形を吟味して拾ってきました。
その石をガスコンロで熱した後、食材を乗せて焼くのです。

Photo_5 この日の食材は市場で買ってきた”生のタコ”。
これにレモンをギューッと絞って、きざみネギとともに焼きます。
そしてポン酢をつけてパクリ。

たまんねぇ~。

Photo_6 次なるお酒は”秋鹿 純米生酒 山田錦
これを片口に注いでいただきます。

石の放射熱はかなりのものなので、近くに置いた片口が少しずつ温まります。
温度とともに変化するお酒の風味をゆっくりと楽しみます。

タコを平らげるころには石が冷めてきたので、次の石をセットします。

1そして食材は”干しタコ
これは熊本の居酒屋で出会った、燗酒にストライクなツマミなのです。
お店の人に尋ねてみたら天草地方の名産であるとのこと。
そこで天草に出張する部下に命じて買ってこさせていたのです。

Photo_7 干タコを石の上に置くと、ムギューッと縮み、続いてクニャッともんどりうつのが楽しい。

Photo_8 お酒は”群馬泉 超特選純米山廃”をぬる燗で。

ん~、いいねぇ。

ぬる燗とあぶった干物。
そして気持ちのいい景色。

充実した昼下がりなのでした。

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2015.04.20

夕日のベランダカウンター

4マテ貝掘りを終えて自宅へ戻ると、そろそろ夕暮れ時。
陽気も温かくなってきたので、ベランダカウンターで早めの夕食をとることにしました。
思えばこれまでベランダカウンターはランチ専用で、夕食に利用したことはありませんでした。

夕日の沈む時間に合わせてカウンターをセッティング(板を載せるだけですが)し、ワインと料理を並べます。
7まずはボンゴレ・パスタ。
獲れたてのマテ貝を使い、我が家のベランダで採れたクレソンもトッピング。
マテ貝独特のツルッとした舌触りと、噛んだときの歯ごたえがたまりません。
8
もう一品は、モッツァレラチーズ&トマトのサラダ。
こちらにもベランダで採れたハーブ類をたっぷりと使いました。


6沈む夕日を眺めながら、マテ貝のパスタとワイン。
ベランダカウンターでの小さな贅沢です。

今年は日没後も利用できるように改良を加えようかなと思ったりするのでした。

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2015.04.19

マテ貝掘りに行って来たんですよ。

北九州に転勤を命じられてから、かれこれ今年で8年目になります。
転勤して最初に嬉しかったこと、それは”マテ貝が普通に魚屋さんで売っていたこと”なのです。
マテ貝、この奇妙に長細い二枚貝は、私が以前住んでいた関東地方では比較的珍しく、居酒屋でも二度しか見かけたことが無い(一回目は秋葉原の老舗「赤津加」二回目は貝料理をメインとした別のお店)のです。
しかしその数少ない経験において、マテ貝は独特の食感とかすかな苦味によって私の心を既にとりこにしていたのでした。

そんなマテ貝が北九州では魚屋さんで普通に売っている。それどころか”マテ貝掘り”と言って、素人が砂浜で採取できるというのですから驚きです。
アサリを中心とした一般的な潮干狩りとは区別して、わざわざ”マテ貝掘り”という独立した種目になっている点にも心を惹かれます。

毎年春のこの時期、早い時間の居酒屋のカウンターなどで、同伴出勤と思われるスナックのオネーチャンが、
「アタシさぁ、来週マテ貝掘り行くッチャー」
とか話している光景も珍しくないのです。

当然私も”マテ貝掘り”にチャレンジしたかったのですが、いざやろうとするとなかなか情報が無い。
やっと見つけた場所にも、
「近年、貝が減少しているため、向こう三年間潮干狩り、マテ貝掘りは禁止します。○○漁協」
みたいな看板が設置されているなどして難航していたのでした。

そんなある日、取引先のKさんが、

「FUKAWAさん、K地区のN社の工場の隣に、広い砂浜があるの知ってます?あそこでマテ貝がかなり獲れるんですよ!しかも漁協が権利を放棄しているのでタダなんですよ!」

と耳打ちしてくれたのです。
釣り好きでもあるKさんの情報であれば間違いなしということで、大潮の干潮にあわせてマテ貝掘りに挑戦してきました。

現場に到着すると、ものすごい数の車が停まっています。しかし工業団地内の広い道路で駐車禁止の規制もないため心配なし。

車の数は多いものの、砂浜が広大なので人混み感はありません。

これがいいんだよなぁ~、北九州って。

車で少し走ればちゃんとした自然があって、かなりの人気スポットであっても関東みたいに人人人・・・ということはまず無い。
ゆっくりと遊ぶことが出来るのです。

1_2砂浜に降り立ち辺りを見回すとと、予想通り人々は沖の方に集まっています。

沖に向かって歩くこと数分。

途中で何度か砂を掘り返しますが、なかなかマテ貝の穴を見つけることが出来ません。
更に沖へと向かい、地元のベテランらしきオバチャンが掘りはじめている辺りでコチラも彫ってみます。
干潮で露出した砂の表面を鍬でサクッと削ると、直径3mmくらいの小さな穴を発見。
そこに塩を少々ふりかけると、中から少量の海水が出てきました。

生命反応有り!

しばらく待つと、マテ貝がニョキッと登場。

2貝殻まで十分に突き出たところで、根元をグイッとつまみ、砂の中で粘るマテ貝をグググッと引っこ抜きます。

ヨシッ、獲れた!

こんな感じで徐々に沖へと移動しながら、マテ貝を捕獲していきます。
アサリを対象とした潮干狩りでは、とにかくザクザクと掘って獲物を掘り出すわけですが、マテ貝掘りの場合は穴を見つけてからの駆け引きがオモシロイ。
ピュッと出たかと思うと引っ込んでしまい、なかなか出てこないヤツがいるかと思うと、しばらく放置した穴からコンニチワしているヤツもいる。
十分に突出した状態でしっかりと貝殻部分をつままないと身がちぎれてしまいます。

350初めてのマテ貝掘りですが、徐々にコツをつかんで、時には両手で同時につまみあげるエキサイティングな場面もありました。
最終的に3時間弱の時間で50匹ほど獲ることが出来ました。

満足満足。

というワケで、本日わかったマテ貝掘りのコツ。

◆必ず鍬(クワ)を持っていく。

移植ゴテやその他の小さな道具では、一度に削ることのできる砂の面積が小さくて非効率です。
ただし畑を耕すちゃんとした鍬だと重いので、左官屋さんが舟(四角い箱)でセメントを混ぜるのに使う薄いステンレス製の物がお勧めです。

◆地元のベテランを観察する。

マテ貝は砂浜全体に均一に分布しておらず、いるところにはたくさんいるのに、いないところにはほとんどいません。そんなときファミリーではなく、一人または夫婦で来ている地元のオッチャン、オバチャンの動きを観察すると、マテ貝のいる場所のヒントをつかめます。
やたらとザクザク削っている人より、既に穴を見つけてマテ貝が出てくるのをじっと待っている人とか、オリジナルの道具を持っているような人がオススメです。

◆削ったらしばらく待つ。

表面を削ると、すぐにマテ貝の穴が見つかることもあります。しかしそのまましばらく待つと砂の表面に海水が染み出してきて、それまで目視では気が付かなかった小さな穴から気泡が出てきたり、削ったことにより砂で塞がれていた穴が水分で崩れて再び口を開けたりします。
片っ端から塩をふりかければ、マテ貝がニョキニョキと・・・。

さて、この後は獲ってきたマテ貝を調理して、ベランダカウンターでいただくとしましょう。

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2014.05.18

晴れのちビール 鰻屋でゆっくりと

今日は後輩のNをさそってボルダリング。
二時間以上汗をかいて、疲労で指や腕が使いものにならなくなったところで、どちらからともなく、

「行くかっ!」

という流れとなり、昼の街へと繰り出しました。
とは言え時刻はまだ昼の3時。そのうえ日曜日ということでほとんどのお店が休みか開店前です。

んー、こういうときは・・・。

ということで鳥町食堂街の鰻屋さん「川淀」へと向かいます。

ガラガラ・・・

と引き戸を開けようかと思ったら、この時期ならではの外の空気を取り入れるために既に半分ほど開いている引き戸。
覗き込むと地元の常連さんらしき人が、独りカウンターで飲んでいます。

いいねぇ~、この感じ。

私:「二人です。」

ご主人:「どうぞ、お二階へ。」

狭い階段を上ると、小さな白木のテーブルが数台並んだ静かな空間。

「鰻というのは注文を受けてからさばくんだよ。それで出てくるまで時間が掛かるから、最初にお酒とツマミになる一品モノを頼んでおくのさ。」

と、後輩Nに講釈をたれ、

まずは、「”ヱビスのビンビール”に”板ワサ”それから”うざく”と”う巻き”、最後に”鰻丼(上)”をお願いします。」と注文。
まもなく到着したビールで喉を潤します。

クゥ~、旨いっ!

それにしても昼間から飲むビール、特に天気が晴れの日のビールはなぜここまで旨いのか・・・。

Photoほぼ同時に到着した”うざく”をツマミながら、幸せなひとときをジックリと味わいます。

店内を見回せば、狭いながらも落ち着いた空間。
固く絞られた布巾で毎日拭かれてきたであろう、角の丸くなった白木のテーブルが、六十年というこのお店の歴史を感じさせます。

到着した”板ワサ”を見て、

「カマボコのことだったんスか?」

と聞いてきた後輩Nに、

「カマボコは板にくっ付いているだろ、その板だよ。」

と、不確かなウンチクを披露しつつ、ビールをお代わり。

Photo_2メインの鰻丼は、流石に専門店の味わい。
鰻の表面の軽いパリッと感に、納得の満足感が込み上げてきます。

こういう休日、正しいよなぁ・・・。

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2013.10.31

風邪をひいて、健康になった気分。

んー体の節々が痛い。
そんな気分で仕事を終えたある日。たまには(健康診断の前を除いては年に一回くらい)家にまっすぐ帰ることにしてみました。
そして翌朝、節々はますます痛いし熱っぽい、そして喉も痛い。

だめだこりゃ。

ということで会社に電話。風邪で休むことにしたのです。

「風邪なんていうものは病院なんぞへ行かなくても、薬を飲んで家で寝ていれば治るのだ。」

という家訓を思い出し、早速薬を探したのですが見つかりません。

そう言えば少し前にいくつか薬のビンを見つけたものの、

「ビンに書いてある文字が小さくて読めん!これじゃあ飲むのが食前なのか食後なのかワカランッ!どうせ風邪なんか滅多にひかないから、全部捨ててしまえ。」

と、男らしく捨ててしまったのを思い出し、激しく後悔しました。(泣)

布団にくるまってウーウー唸りつつ近所の薬屋さんがオープンする時間を待ち、その後フラフラの状態で何とか風邪薬を入手。
そしてまた布団にくるまって寝ることに。途中汗ぐっしょりで二回ほど着替え、一晩たって体重を量ったら約2キロも痩せていました。

酒は飲まないし体重は減るし、オマケに会社は休めるし、たまには風邪をひくのもいいカモ。

などと意味不明なポジティブ思考で翌日は出社し、業務終了後に向かったのは。「小料理 なみ」です。
大将に故障者リスト入りしたことを告げつつ、いつもの席へと陣取ります。
まずは”生ビール”
しかし体調不良のため、いつもの爽快感はありません。
スタミナ源を補給するため、”馬ユッケ”をお願いし、お酒は日本酒”南 純米吟醸”をいただきます。
やはり日本酒は体に優しい。
少しだけ調子に乗って、お次は”開運 純米ひやおろし
しかしやはり今夜はまだ本調子ではない。
Photo滋養強壮の期待をこめて”地鶏鍋”をお願いし、お酒は”新政 No.6”をぬる燗で。
豆腐が多めに入っていたのは、大将の心遣いでしょうか、スープまでしっかりと頂き体を芯まで温めることができました。
最後はお水を一杯頂き、風邪薬を飲むのでした。

Photo_2後悔することがあってもいい。しかし同じことで二度後悔してはいけないのだ。
(だから今夜、蓋にマジックで書いておいた)

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2013.05.22

新旦過街にて、夜の新規開拓

長くなった陽が沈むと心地よい風が吹きぬける季節。
そんなこの時期は夜の新規開拓にもってこいの季節なのです。
なぜならこの時期は、普段は閉じられていることの多い居酒屋や小料理屋の引き戸も、外の空気を取り入れるために少しだけ開いていたりして、その隙間からさりげなくお店の中の様子をのぞくことが出来るからなのです。

そんなわけで久々の新規開拓に乗り出したものの、いつも飲んでいる紺屋町、堺町、鍛冶町あたりは結局知っているお店ばかりなので、この夜はいつもと少し違ったエリアへと足を運んでみました。
1新旦過街です。

”小倉の台所”として有名な旦過市場に沿うように、市場の裏路地に小さな飲み屋が密集しているエリアなのです。

「ようころ新旦過街」ではなく、
「ようこそ新旦過街」なのが、さっそく謎めいています。

15新旦過街の入り口付近には、この路地のマップが掲げられています。
点滅するイルミネーションが照らし出す、妙に手作りチックなマップといい、「砂の巨人」や「出会いのかけら」といったお店の店名といい、かなり昭和の香りが漂っています。

2路地の奥はこの通りディープな雰囲気で、ちょっとした迷路のように入り組んだり、分かれたりする小道が這いまわっています。

そんな新旦過街で、ずっと気になっていたお店があるのです。

3カクテル しろ」です。

看板にはなんとも言えないこだわりの書体。
そしてお城の絵。

ドアに仕込まれた小さなガラスを通して中を覗き込むと、カウンターとバックバーが見えるので、看板どおりのカクテル・バーとわかりました。
見るからに歴史のありそうなお店の前には植木が植えられ、おそらくはママさんもいることを予感させます。

ギッ・・・(と、扉を開く)

「いらっしゃいませ。」とママさん。

「えっと、どこでも(座って)いいですか?」と私。

「はじめて・・・でいらっしゃいますよね?」と、白髪のマスター。

「ハイ、いつもは紺屋町あたりで飲んでいます。」と私。

店内はカウンター席が8席ほどと、背後に控えめなボックス席。
内装にはけっしてお金は掛かっていないけれど、壁や天井にまで貼られた企業戦士の名刺が、このお店の歴史を感じさせてくれます。

私:「ずいぶん長くやっておられるみたいですね。」

ママ:「そうね、もう五十三年になるのよ。お酒、何にします?」

私:「ジン・トニックをお願いします。」

清潔な白い服に黒の紐タイのマスター。

ジンも、トニックウォーターも冷やしていない、そしてライムジュースを少し注ぐという大昔そのままのレシピで作っていただいたジン・トニックは、飲む者に不思議な癒しを提供してくれます。
そう言えば何年か前、”雪国”を考案した老マスターに会いに行ったら、

「昔はね、ライムなんてほとんど手に入らなかったんだよ。誰でも手に入る材料を工夫して作ったカクテルが、スタンダードになったのは嬉しいよ。」

とおっしゃっていたのを思い出しました。

初めての客にもあくまでやさしく、全てを包み込んでくれるようなご夫婦。
五十三年前に時間の止まった、魔法がかかったような店内。

この街に、この裏路地にいつまでも残っていて欲しい、「カクテル しろ」はそんなお店なのでした。

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2013.04.14

今年初のベランダカウンター。

42_3春のあたたかい風が吹きはじめた北九州。
そんな日曜日はベランダカウンターで優雅な昼食をとることにしました。
天気は快晴とはいえないものの、うすい雲を通してやわらかな日差しが降り注いでいます。
昨日魚釣りに行った名残の、軽い筋肉痛を伴う疲労感が、日中からの一杯への期待感を高めてくれます。

4_3今年最初のベランダカウンター。
メインディッシュは昨日釣ってきた”クロダイをキノコ類と共にトマトで煮込んだもの”。
黒鯛の身をオリーブオイルで軽く焼いた後、各種キノコやアスパラと共にホールトマトと白ワインで煮込みました。

4_4そして初挑戦した”アボカドグラタン”です。
アボカドのくぼみにマカロニとベーコンを載せて、ピザ用チーズをふりかけたものをトースターで焼き上げました。
これ、簡単に出来て、しかもウマイです。

4_5よく冷やした白ワインを飲みながらのゆるやかな時間は、まさに至福のひと時です。
家でゴロゴロする休日も、本でも読んで勉強する休日も、あるいはたまった仕事を処理する休日も、それぞれ良いのではないかと、今更ながらに思うのでした。

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2013.03.09

隣人は秘かに・・・

年度末、卒業、入学、就職シーズンを向かえ、不動産や引越しの業界は大忙しのようです。
先日も我が家の左隣の部屋から、住人が去っていきました。
右隣の部屋については以前書いたとおり謎が多いのですが、引き続き空室のままです。
そのため現在、我が家は両隣が空室となり、静かで良いような、少し寂しいような不思議な感じとなっています。
そんなある朝、気持ちよく出勤しようと玄関のドアに鍵を掛けているとき、いつもと違う何かに気が付いたのです。

そう、あの右隣の部屋です。

北東の角にある、あの部屋です。

1一見するといつもと変わりが無いようですが・・・。

よく見ると、

無人のはずの部屋の玄関の前に、なぜか盛り塩が!

いったい誰が、何のために、いつの間に・・・。

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