47都道府県酒飲み計画 金沢へ。
東京へ転勤になってからそろそろ丸三年。
コロナもだいぶ収まってきたこともあり、活動を再開することにしたのです。
何を再開するかと言いますと、「全国47都道府県すべてで酒を飲む」という私のライフワークです。
九州時代からずっと行ってみたかったのが石川県の金沢。新幹線の開通で東京からかなり行きやすくなったと同時に、一時は大混雑していたようですが、そろそろ落ち着いてきた感もある。ここはひとつ11月のカニ漁の解禁を待って行ってみることにしたのです。
新幹線ってホントに早くて便利だよなぁ~。乗り込んでしまえばあっという間に金沢到着です。
日本海側と言えば天気が曇りや雪であることが多いのですが、この日は晴天でコートが不要なくらいに温かい。
目的とする飲食街の方へブラブラと歩いていきます。翌日立ち寄る予定の近江町市場の場所なども確認しつつ歩いていると、さすがに日が暮れてきました。
ん~、飲み屋街はこの辺りかな?
と、あえて横道へそれると、薄暗い通りに居酒屋、料理や、料亭など、落ち着いて静かな感じのお店が点在しています。
アレレ、良さそうなお店がいっぱいじゃないか!
この夜の食事は一軒しか調べて来なかったのですが、もし失敗しても十分取り返しが出来そうな雰囲気です。
そんなことを思いつつ歩いていくと、お目当てのお店「浜長」へと到着しました。
すこーしお高そうな雰囲気に気後れしつつ引き戸を開けてみます。
ガラリ・・。
いらっしゃいませー!と大将の声。
私:「あの、一人で予約しました・・」
大将:「FUKAWAさん?さぁこちらへどうぞ。」
とスムーズにいざなってくれます。
ガッシリした黒いカウンターに、先客は60代と思われるご夫婦のみ。
まずは瓶ビールをお願いし、美しいお通しを眺めながら策を練ります。
メニューは本日のオススメ食材が黒板に、「造り」「焼物」「酢物」と調理法別にギッシリ。お値段は書いていないので”時価”ということでしょう。
そこでまずは”お刺身盛り合わせ”をお願いしてみました。
大将:「盛り合わせね、承知!」と気持ちよく応じる。
しばらくして供された盛り合わせ、一見すると何の変哲もないお刺身なのだが・・・。
まず”アオリイカ”を一切れパクリッ。
なんだこの美味しさ!
アオリイカなら自分で釣って食べたこともあるけれど、甘みがあって全然違う。旨いっ!もはやイカとは思えないくらい旨いっ!
日本酒”手取川”で気を落ち着けて、同じ皿の”ブリ”に着手。
ムムムムッ!これも旨いっ!
流通の発達した現代である。ブリなんて全国どこでも食べられると思っていたけれど、これは全然違う!刺身をひと切れ運ぶたびに、思わず顔が緩んでしまう。
不気味な客だと思われないように顔にシマリを取り戻そうとするものの、あまりの幸福感にニヤニヤが止まらない。そんな私を見た大将が、
「他地域ではブリは養殖も多いですからね、でもやはり北陸の天然物は全然違いますよ。」と教えてくださる。
んー、そうか、天然物でも特に良いものは地元でしか出回らないのだな。などと思いつつ他の魚も順次いただく。
お店には大将の他にお弟子さんらしき男性が二人、女性店員も3~4人いて、奥のお座敷にもどんどん料理が運ばれていく。ギャル風(髪の色が)の店員さんに「お盆は両手でね」と指導する様子も人柄が練れている感じだ。
刺身の後にもう一品お願いしたものの、先ほどから隣で品の良い夫婦客がつついているカニも気になる。
そうだよ、俺はカニ漁の解禁に合わせて来たんじゃないか。
私:「大将、あの(隣の人と同じ)カニ、私の分もあります?」
大将:「もちろんですよ。香箱蟹ね。承知!」
蟹というのは同じ(またはほぼ同じ)種類でも、地域によって呼び名が変わるのでいろいろややこしい。香箱蟹(コウバコガニ)というのはズワイガニのメスのことだそうだ。
供された”香箱蟹”。
ほぐしたカニの身が甲羅に美しく盛り付けてある。
「よそではよく、足の部分を殻からギュッって押し出すんですけど、そうすると旨味のある汁が絞り出されてしまうの。だからウチでは箸で一本ずつ甲羅から取り出しています」とのこと。
旨いよ、旨いよ。
宝石箱の中の宝石をつまむように、箸先で少しずつ大切にいただく香箱蟹。
見た目が美しいだけではない、味も旨味もたっぷりと堪能。
この後大将が「甲羅酒はいかがですか?甲羅を少し炭火であぶってね・・・」とお勧めされたのでもちろんリクエスト。
カニの甲羅で熱燗を、「オットット」とか言いながら飲むのかと思ったら、甲羅がドボンと入る器でたっぷりと頂くスタイルでトドメを刺されました。
何もかも美味しくて、また来月にでも来たくなる(価格帯もわかったし)ような素晴らしいお店なのでした。
その② 金沢BAR編へと続く。
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