2022.11.28

47都道府県酒飲み計画 金沢へ。

東京へ転勤になってからそろそろ丸三年。
コロナもだいぶ収まってきたこともあり、活動を再開することにしたのです。
何を再開するかと言いますと、「全国47都道府県すべてで酒を飲む」という私のライフワークです。

九州時代からずっと行ってみたかったのが石川県の金沢。新幹線の開通で東京からかなり行きやすくなったと同時に、一時は大混雑していたようですが、そろそろ落ち着いてきた感もある。ここはひとつ11月のカニ漁の解禁を待って行ってみることにしたのです。

01_20221128163601 新幹線ってホントに早くて便利だよなぁ~。乗り込んでしまえばあっという間に金沢到着です。
日本海側と言えば天気が曇りや雪であることが多いのですが、この日は晴天でコートが不要なくらいに温かい。
目的とする飲食街の方へブラブラと歩いていきます。翌日立ち寄る予定の近江町市場の場所なども確認しつつ歩いていると、さすがに日が暮れてきました。

ん~、飲み屋街はこの辺りかな?

と、あえて横道へそれると、薄暗い通りに居酒屋、料理や、料亭など、落ち着いて静かな感じのお店が点在しています。

アレレ、良さそうなお店がいっぱいじゃないか!

Photo_20221128163603 この夜の食事は一軒しか調べて来なかったのですが、もし失敗しても十分取り返しが出来そうな雰囲気です。
そんなことを思いつつ歩いていくと、お目当てのお店「浜長」へと到着しました。
すこーしお高そうな雰囲気に気後れしつつ引き戸を開けてみます。

ガラリ・・。

いらっしゃいませー!と大将の声。

私:「あの、一人で予約しました・・」
大将:「FUKAWAさん?さぁこちらへどうぞ。」
とスムーズにいざなってくれます。

ガッシリした黒いカウンターに、先客は60代と思われるご夫婦のみ。

まずは瓶ビールをお願いし、美しいお通しを眺めながら策を練ります。
メニューは本日のオススメ食材が黒板に、「造り」「焼物」「酢物」と調理法別にギッシリ。お値段は書いていないので”時価”ということでしょう。
そこでまずは”お刺身盛り合わせ”をお願いしてみました。

大将:「盛り合わせね、承知!」と気持ちよく応じる。

しばらくして供された盛り合わせ、一見すると何の変哲もないお刺身なのだが・・・。
まず”アオリイカ”を一切れパクリッ。

なんだこの美味しさ!

アオリイカなら自分で釣って食べたこともあるけれど、甘みがあって全然違う。旨いっ!もはやイカとは思えないくらい旨いっ!

日本酒”手取川”で気を落ち着けて、同じ皿の”ブリ”に着手。

ムムムムッ!これも旨いっ!

流通の発達した現代である。ブリなんて全国どこでも食べられると思っていたけれど、これは全然違う!刺身をひと切れ運ぶたびに、思わず顔が緩んでしまう。
不気味な客だと思われないように顔にシマリを取り戻そうとするものの、あまりの幸福感にニヤニヤが止まらない。そんな私を見た大将が、

「他地域ではブリは養殖も多いですからね、でもやはり北陸の天然物は全然違いますよ。」と教えてくださる。

んー、そうか、天然物でも特に良いものは地元でしか出回らないのだな。などと思いつつ他の魚も順次いただく。

お店には大将の他にお弟子さんらしき男性が二人、女性店員も3~4人いて、奥のお座敷にもどんどん料理が運ばれていく。ギャル風(髪の色が)の店員さんに「お盆は両手でね」と指導する様子も人柄が練れている感じだ。

刺身の後にもう一品お願いしたものの、先ほどから隣で品の良い夫婦客がつついているカニも気になる。
そうだよ、俺はカニ漁の解禁に合わせて来たんじゃないか。

私:「大将、あの(隣の人と同じ)カニ、私の分もあります?」
大将:「もちろんですよ。香箱蟹ね。承知!」

蟹というのは同じ(またはほぼ同じ)種類でも、地域によって呼び名が変わるのでいろいろややこしい。香箱蟹(コウバコガニ)というのはズワイガニのメスのことだそうだ。

Photo_20221128163601 供された”香箱蟹”。
ほぐしたカニの身が甲羅に美しく盛り付けてある。
「よそではよく、足の部分を殻からギュッって押し出すんですけど、そうすると旨味のある汁が絞り出されてしまうの。だからウチでは箸で一本ずつ甲羅から取り出しています」とのこと。

旨いよ、旨いよ。

宝石箱の中の宝石をつまむように、箸先で少しずつ大切にいただく香箱蟹。
見た目が美しいだけではない、味も旨味もたっぷりと堪能。

Photo_20221128163602 この後大将が「甲羅酒はいかがですか?甲羅を少し炭火であぶってね・・・」とお勧めされたのでもちろんリクエスト。
カニの甲羅で熱燗を、「オットット」とか言いながら飲むのかと思ったら、甲羅がドボンと入る器でたっぷりと頂くスタイルでトドメを刺されました。
何もかも美味しくて、また来月にでも来たくなる(価格帯もわかったし)ような素晴らしいお店なのでした。

その② 金沢BAR編へと続く。

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2022.03.30

ソロ花見をしてきたんですよ。

花見の季節。
コロナも収まってきたことだし、今年はぜひ花見をしたい。
しかし花見というのはけっこうハードルが高くて、桜の花の咲くタイミングが会社の休日に重ならないかもしれない。当日雨が降るとどうにもならないし、風が強くても困難になる。場所が人でいっぱいだったりすることもある。用意周到に準備せねばならないのです。
花の咲くタイミングについてはSNSで地元のお花見スポットについて情報収集。公園を散歩している人が、「チラホラ咲きはじめました」といった有益な情報をUPしていることを発見。ちょうど週末辺りが満開っぽいのですが、天気予報を見ると土曜日は降水確率が高く、日曜日は風がやや強い。都会ならではの人出にも警戒しなければなりません。

そこで今年は月曜日に有給休暇をとってしまいました。

天候や開花の状態次第で日曜と月曜のどちらにも対応できるし、日曜日に行って人が多すぎれば、平日の月曜日に出直すことも出来るようにしたのです。

そして日曜日。天気は曇りですが最高気温は23℃の予報で花見としてはバッチリ。我が家から徒歩10分の、善福寺緑地公園へと向かったのです。
Photo_20220330124302 到着してみると予想通り桜は満開。
善福寺川の両岸に沿って延々と桜並木が続いてきます。
午前十時ということもあってか人もそれほど多くありません。花見の場所はどこにしようかと迷いながら、のんびりと桜並木を一周し、適当なスペースを見つけました。
この適当なスペースというのは一人分。

すなわち今回は「ソロ花見」というスタイルなのであります。

コロナ対策でシートを敷いての宴会は禁止になっていたので、シートは敷かずにキャンプ用のミニテーブルと椅子のみを設置。酒宴の準備が整いました。

Photo_20220330124306 そしてまずはビール

いいよなぁ~。
桜の花の下でのビール。
しかも午前中からだ。



Photo_20220330124308 ツマミはまずはデパ地下で買った総菜類と、自家製の燻製(タコ、ウズラの卵、サーモン)で開始。ビールはあっという間に飲み干してしまい、お次は日本酒(冷酒)。
これはカップ酒(志太泉・純米吟醸)を活用し、ゆっくりと飲みながら食事の準備を始めます。
多くの公園と同じく善福寺川緑地公園も火の仕様は禁止。そこで今回は水を入れると化学反応で発熱するツールを利用しました。
専用のビニール袋に薬剤とパックご飯、それから水を投入するとかなりの熱が発生し、シューシューと蒸気が出てきます。15分ほどたつと蒸気の噴出が止み、あったかご飯の完成です。
Photo_20220330124502 これに本マグロの中トロを乗せていただきます。

ん~ん、最高。

やはり関東の魚はマグロが一番だ!



Photo_20220330124303 さてこうなると燗酒も欲しい。
当然燗酒向きの日本酒も用意してあります。
大阪の「秋鹿」と兵庫の「奥播磨」

Photo_20220330124501 燗つけには、普段は缶ビールを冷温で保持するための真空構造の容器「缶クーラー」を使いました。
こいつに徳利を入れて、魔法瓶に用意しておいたお湯を注げば、お湯が冷めにくくなり燗の酒の温度を保つことが出来ます。徳利の外径と缶クーラーの内径が比較的近いこともあり、最小限のお湯で燗を付けられます。まさに逆転の発想「燗クーラー」となるのです。

Photo_20220330124301 屋外ということで徳利とぐい飲みは割れる心配のない錫製を準備。

燗酒と鉄火メシ。
たまんねぇ。

2_20220330124501桜を眺めながら一息入れた後はワインを取り出します。







Photo_20220330124307 ワイングラスはオーストリア、リーデル社のO(オー)シリーズ。

このグラスはステムを無くすことで、破損の恐れのある屋外でも扱いやすく、列車の中など倒れやすい環境でも使いやすいという優れモノなのです(とはいえやはりリーデルのグラスは薄いので、持ち運びには細心の注意を払いました)


Photo_20220330124305 ツマミはチーズ盛り合わせ。これに別途用意したオリーブオイルと塩胡椒を振りかければ立派なツマミへと変身。
チビチビとやりながら周囲に目を向けると、いつの間にか周囲には家族連れや老夫婦などが思い思いに座り花見を楽しんでいます。
発電機の使用やカラオケも禁止されているので、静かな雰囲気で桜を楽しむことが出来ます。
Photo_20220330124304デザートにイチゴ(博多あまおう)を頬張って、ソロ花見は成功裏に終了したのでした。

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2022.02.21

阿佐ヶ谷:「酒場 さん七」で燗酒三昧。

コロナの影響で時短営業が続く飲食店街、行きつけの「酒場 さん七」でも、

「先が見えないから仕入れの量をどうするか悩んでいます」

とのことで、一時は日本酒のメニューがやや少なくなっていました。
しかし2月も中旬に入り、飲み屋街の雰囲気も少しづつ上昇。ようやく先が見えてきたようで、「お燗向けガッツリ入荷」の連絡が入りました。

Photo_20220221134201阿佐ヶ谷の商店街、パールセンターのアーケードの下をいそいそと歩き、やがて一本奥の路地へと入り込みます。そして古い飲食店ビル「パティオ・エル・スール」の二階へと上がります。
ギィとドアを開けると、いつものように薄暗い店内。

私:「こんばんは」
店主:「どうぞ、カウンターへ」私:「えっと、ビールと、おかせコースでお願いします。」

まずは間もなく供されたビール(ハートランド)をグビグビと飲みます。
このお店は日本酒メインで、最初のビールは無くても良いくらいなのですが、ビールも嫌いなわけじゃない。アラブの詩人が「祈りも酒も両方あるから良い」と言うように、私は「ビールも日本酒も両方あるから良い」と言うわけです。

この夜のお任せコースは前菜の”もずく”からスタート。二品目の”ナスのピリ辛煮”あたりで早くもビールは終了し、三品目”三種盛り”が出るころには日本酒の注文へと移ります。
最初は慣れ親しんだ”初桜 純米大吟醸”をクイッと一杯。
Photo_20220221134207三種盛り”の内容は根室産生ウニ、鯵のなめろう、鯖の炙りという充実したもの。
絶妙な炙り具合の鯖は、隣のお客さんが「単品であと二人前ください」と言い出すほどの美味しさ。鯵のなめろうももちろん旨いが、根室産生ウニがとどめを刺してくれます。お酒は”不老泉 杣の天狗純米”と滋賀県リレー。
Photo_20220221134203 ここで改めてお酒のメニューに目を走らせると、「燗か常温がオススメ」のコーナーに古参メンバーというか、オールスター級メンバーが勢ぞろい。ワクワクしながら選んだのは”小松人 山廃純米 責め”グググッと胃袋に染み込むような味わいのこのお酒を飲んでいると、「石川県小松市の人は全員いい人に違いない」という確信めいたものが湧いてきます(小松市はおろか石川県にも行ったことは無いのですが)。
コースの四品目は”和牛煮込みハンバーグ”、ハンバーグに日本酒?と思われる方もいるかもしれませんが、さん七のラインナップなら安心です。Photo_20220221134205十字旭 生酛純米原酒”をチョイスし、濃い味どうしを楽しみます。

複雑だが、明確な主張のある酒と肴が話し合っているのが聞こえるような静かな店内。
んー、ととのう。

五品目の”珍味”と”おでん盛り合わせ”をつつきながら、今度は”日置桜 夜桜ラベル”をもちろんお燗で、ジワッと香ばしさのある飲み口。「石川、鳥取、島根のお酒に嘘偽りは無し」という「石鳥島の法則」を改めて確認していると、闇に沈み込んだような店内で、体中が温まっていきます。
Photo_20220221134204 最後はこのお店の番人のような存在”三光天賦 山廃純米”をすすりながら”〆のご飯(この夜はお茶漬け)”をいただき、春とともに普通の飲み屋街の夜が訪れることを祈るのでした。

 

 

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2021.11.29

吉祥寺「中清」にて昼酒アワー。

長いこと続いたコロナもそろそろ終息か?
東京の緊急事態宣言も解除され、徐々に経済活動を再開しています(言い換えると飲みに行っています)
まずは阿佐ヶ谷のなじみのお店の営業状態をチェックしつつ、最近は中央線沿線のその他のエリアのお店へも足を延ばし始めています。

01_20211129150001 そんなある日曜日。伺ったのは吉祥寺にある「中清」という蕎麦屋さん。

午前11時の開店に合わせて昼酒でも楽しもうという魂胆です。
「中清」は吉祥寺駅から徒歩10分ちょっと。街に古くからある典型的お蕎麦屋さんの風情に付け加え、日本酒の一升瓶がズラリと並ぶ店構え。

期待度大で吸い込まれました

東京はどこへ行っても人が多くてお店も混んでいることが多いのですが、さすがに駅から10分以上歩くためか先客は無し。

私:「一人なんですけど・・・」
店員さん:「どうぞ、どこのお席でも。」

奥の方のテーブル席に腰を落ち着けて、改めて店内を見まわします。
澄んだ空気の店内は、磨き上げられた木製のテーブルと小上がりという構成。
こういった”街によくある古いお店”にありがちな、隅の方にガラクタが積み上げてあるようなことは無く、代わりに日本酒や蕎麦、ジャズ喫茶に関する書籍などが並んでいます。
天井付近からは日本酒の銘柄を書いた大きめの短冊が下がっていて期待が高まります。

02_20211129150601 さて注文・・・という段階で壁に”キリン・ハートランド”のポスターを発見して大安心。
私の経験上”ハートランドを置いている店にダメな店は無し”なのです。
当然”ハートランド”と、ツマミは”板ワサ”を選択。”板ワサ”は二種類あって、片方はワサビ以外に蕎麦ミソも付いてくる(蒲鉾は小田原の鈴廣製)とのことなので、ここは蕎麦ミソバージョンを選択。
その他に”カツ煮”と”揚げナス”もお願いしてまずは一口。

グビグビグビ・・・。プハァ~。
あ~旨い。午前中からのビールはホントに旨い。


板ワサはさすがに鈴廣の蒲鉾。活きの良いプリンッとした食感がすばらしい。
少し待つと、寒いのでお願いした”カツ煮”も到着。蕎麦屋さんのサイドメニューって、卵を使ったものが特に美味しいように思うのは私だけでしょうか。
03_20211129150601 ”カツ煮”を食べ終わることには”揚げナス”が到着。
これにはもちろん日本酒ということで”手取川”を選択。酒の舞台が整いました。
ナスは私の大好物の一つですが、一つだけ欠点を挙げるとすれば皮が固いこと。皮をむいていない料理だと皮だけ嚙み切れないことが多いのです。しかし中清では包丁で半分に切ってあり、完璧なナス料理となっています。
日本酒をチビリチビリとやりつつ改めてメニューに目を走らせると、「大正十二年創業」という記載。
もうすぐ100年を迎えるたいへんな老舗ということになり、ナスの包丁にも納得です。

04_20211129150601 もう少し飲みたいので”山芋海苔巻き”と”豊盃”を注文。
片口から漂う豊盃の香りを楽しみつつ、他のお客さんの様子などを観察。
ご近所の夫婦者と思われる客が二組。その他も近所の人々と思われ、皆さん静かに酒を飲み、蕎麦を手繰っています。

05_20211129150601 最後によくシメられた”鴨汁蕎麦”をいただくと、心地よい満腹感とともにほろ酔い気分となり、やわらかな日差しの中へと歩き出すのでした。

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2021.10.05

外飲み解禁日:神田 眠庵

長かったコロナ緊急事態宣言。10月1日にようやく解除されました。

いや~長かった。本当に長かった。この間は当然「家飲み」になっていたわけです。
家飲みの良いところは好き勝手に飲むことが出来ること。
冷酒向きと思われる日本酒を燗にしても、レアなウィスキーを水割りにしても、午前中から飲み始めても誰にも文句を言われない。
なので最初のうちはこの家飲みを楽しんでいたのですが、こう長く続くとさすがに飽きてきます。
まず、つまみのレパートリーが少ないのでネタ切れになります。行きつけのお店のテイク・アウトを利用したりもしていましたが、それでも大部分は自炊となり、自然と簡単なものばかりになってしまいます。
それに一人暮らしだと話し相手がいない。お店に行けば店の人や常連客と話したり、知らないお客さんの話に聞き耳を立てて楽しむことが出来るわけですが、家飲みだとテレビを見るくらいしかない。

 

そんな欲求不満の家飲みが、ついに9月30日で終わったのです。

 

Photo_20211005112701

緊急事態明けの10月1日は一刻も早く良質な酒と肴に出会いたい。

という私の欲求に心の羅針盤が指し示したのは、会社の近くにある「眠庵」でした。

民家の裏口のようなドアを開けるてカウンター席に陣取るとまずは注文です。

 

「”ハートランド”と”牛肉と大根のバーボン煮”あと”お豆腐(自家製)”をお願いします。」

 

このいつも同じ注文内容を口にするのも何ヵ月ぶりか・・・。楽しい夜の始まりです。

Photo_20211005111003 キレのあるキリン・ハートランドをコップに注ぎ、グビッ、グビッ、グビッ、グビッ・・・プハァ~。

あ~ウマい、やはりお店で飲むビールはウマい!


Photo_20211005110701 店主とポツポツ話しながら、”バーボン煮”や”豆腐”をつまみます。

ビールはすぐに飲み干してしまい、お酒は”喜久酔 特別純米”へと移行。静かな酒宴が進みます。

準備運動も終わったところで注文したのは”丸干しイカ”。

Photo_20211005111002 痛風持ちとしては長い間避けていたメニューですが、外酒解禁日のこの夜は特別に禁を解くことにしました。
等間隔に切られたイカの断面には、黒いワタが顔を出しています。酒飲みならば誰でも、はみ出したワタを見て笑みをこぼすというものです。
お酒は”志太泉 純米吟醸 生原酒””君盃 さくら 純米吟醸”と飲み進みます。それにしても静岡の酒はどれも美しく、それでいて飲み飽きないなぁ。

珍しく空いていた眠庵。最後は”お蕎麦 二種盛り”をいただいて〆たのでした。

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2021.07.05

梅雨空の下 阿佐ヶ谷「やの志ん」で昼酒 

東京都の緊急事態宣言が解除され、ようやく飲食店でのお酒の提供が再開されたものの、夜7時までというのはなんだかなぁ~。
会社を定時に出ても阿佐ヶ谷へ到着するのは6時過ぎ。かなりいそいそと飲まねばならず、どうも落ち着きません。
家飲みも悪くはないけれど、コロナがこう長引くとツマミのレパートリーも無くなってきたし、新しい分野のお酒への挑戦もネタ切れになりつつあります。

それならいっそ昼から飲めば良い。

01_20210705154901ということで、阿佐ヶ谷の蕎麦屋さん「やの志ん」へと足を向けました。
梅雨の長雨が一瞬途切れた日曜日の11:30。静かな曇天に真っ白な暖簾が映えています。
開店と同時におじゃますると、
女将さんが「お一人?カウンターどこでもどうぞ」と促してくれます。

02_20210705155601 まずは”瓶ビール”とメニュー上で目の合った”トウモロコシのかき揚げ”それから定番の”馬刺し”をオーダー。
ビールをグラスに注ぎ、グビッ、グビッ、グビッと喉を鳴らします。

恥ずかしながらこの歳になって、一杯目のビールは一口ではなく、ある程度の量をグビグビと流し込んだ方が美味しいということに最近気がついた私です。(しかし気づいたことを心から喜んでいます)

03_20210705154901 ”トウモロコシのかき揚げ”は量が多いらしく、店長が気を利かせてハーフサイズにしてくれました。サクサクしたころもに付けた塩と、トウモロコシの甘みの出会いに思わず笑みがこぼれます。
もちろんビールとの相性も最高です。


04_20210705154901お次に登場したのは”馬刺し”コイツにはもちろん日本酒が欲しくなります。”東北泉 雄町純米”からスタート。
馬刺しは熊本産の最高級品ということで、柔らかいことこの上ない。噛めば噛むほど奥底からウマ味がにじみ出てくる、そいつを日本酒でクイッと・・・。

やの志んの料理はどれも美味しいので、次から次へと頼みたくなります。
雰囲気も良いのでつい長居したくなります。

07_2021070515490106_20210705154901 というわけで”大山鳥のネギ焼き”と”真澄 特別純米”に移行。
大山鳥を味わうと、メニューにある親子丼も気になりますが、神に祈るか仏を拝むかと同じくらい悩んだ末に”そばがき”と”秋鹿 山田錦純米吟醸”へと進みました。

08”そばがき”は揚げたものもありますが、この日はノーマルタイプをムニャムニャと頂きました。




10締めのお蕎麦は”鴨とナスとミョウガの限定つけせいろ

鴨・ナス・ミョウガって、全部私の好物じゃないですか!

あ~満腹満腹。家に帰って昼寝して、夕方から健康ランドの温泉でも入るか。

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2021.03.01

阿佐ヶ谷:酒場 さん七

01_20201204123801 阿佐ヶ谷の飲み屋街の特徴は個人店が多いこと。
そしてお店の経営者もエッジの利いた人が多く、音楽好き、演劇好きを全面に出していたり、あるいはいわゆる不定期休で休みが多かったりと、”面白いけれど慣れないとなかなか落ち着けないお店”が数多くあります。
そんな阿佐ヶ谷の夜の街で見つけた、肩の力を抜いて静かに落ち着いて飲めるお店のひとつが「酒場 さん七」です。

02_20201204123801 阿佐ヶ谷駅前から続く商店街「パールセンター」を南へ向かって歩き、一本横の通りに入り込むと、そこにいかにも昭和な飲食店ビルが佇んでいます。
「パティオ・エル・スール」というオシャレな名前のこのビルは、やけに幅の広い階段が日本経済全盛期の昔を語り、少し寂しげな照明が飲兵衛を吸い寄せます。

このビルの二階にある「酒場 さん七」は、日本酒中心の小さなお店です。
カウンター4席と小さなテーブル席がひとつと、滅多に使われることの無さそうな普通のテーブル席がひとつ。
店主は「ウンチクは嫌い、敷居も意識も低いお店です。」
と言ってはいるものの、実はすばらしい日本酒のラインナップとしっかりしたお料理の味わえる素敵なお店なのです。

この夜は料理はお任せコース¥2,800-。内容は”あん肝煮付け””自家製さつま揚げ””馬ヒレ刺””スルメイカしょっつるバター炒め””馬ヒレステーキ””おでん盛り合わせ””〆のご飯”と、どれもお酒に合う、喉と腹が同時に鳴り出すようなモノばかりです。
日本酒は杉勇小松人と冷酒で頂いたあと、奥播磨をお燗で。
03_20201204123801 燗酒は写真のような二重構造の酒器で供され、客が好みの温度でいただく方式。
燗酒というのは洗物が増えるだけでなく、ときどき燗具合についていろいろ言う客がいてお店としてはメンドウなことも多いと思うのですが、この方式は客が燗具合を自分で調整するので問題なし。
最後は不老泉を燗で。

私:奥播磨のあとだからどうかと思ったけれど、しっかりした良いお酒ですね。
店主:ウチはそういったお酒が好きで、奥播磨でも真ん中くらいかもしれないですね。

見れば日本酒のメニューは軽めのものから濃いものへと順番に並べて書いてある。
実はその日にあるほとんどのものが”お任せ”に含まれていて、言い換えるとメニューの数はそれほど多くないのです。
バーか喫茶店の後に居抜きで入ったような店内は改装もほとんどいじっていないみたいだし、この「やらないことをしっかり決めました」的な無駄の無さが気持ちいい。
立地も古いビル(店主いわく”秘境ビル”)で、しかも二階だから家賃も安いのかも知れず、そういったことがコスパの良さにもつながっているのでしょう。

トイレはビルのフロアで共用(男女も共用・注)というこれまた昭和な建物のお店であるにもかかわらず、若い女性客もチラホラやってくるような、独特な魅力をたたえたお店なのです。

注:トイレは明るく清潔です。

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2021.02.01

かんすけ用のフタを作ったんですよ。

かんすけ TK-Ⅱ型を購入後、幸せな燗酒ライフを楽しんでおります。
普段はちゃぶ台の上に置きっ放しなのですが、ここでひとつ問題点が出てきました。

槽内にホコリが入るのです。

さすがに毎日使うわけでもなく、従って毎日洗うわけでも無いので、気が付くと少しですがホコリが溜まっているのです。
飲食店であれば毎晩使うので布巾などを掛けておけば良いと思うのですが、私的にはほぼ週末のみの利用なので、もう少ししっかりした予防策をとりたい。

そこでフタを作ることにしました。

材料は近所の材木店の店先で売られていた端切れの松材を購入。松の木は油を含んでいて水周りで使用するのに向いているというし、十分な厚みを持った木材を少量で購入することが出来ました。

00_20210119124501まずは材料をかんすけ本体と同じ寸法にカットします。
テーブルソーを使えば厚みのある木材もラクラク、そして正確に切ることができます。


この工作の一番の難関は、新たに作るフタの色を本体と同じ色合いにすることです。

本内側は木材を漆塗り風?に塗装してあり、かつ少し使い込んだような風合いまでかもし出しています。
本体とは別に製作するフタの方を同じ色・風合いに仕上げるのはなかなか難しいのです。
過去の経験上塗料の染み込みが悪い松材を選んだ理由のひとつが、塗料を一度にをたっぷり染み込ませるのではなく、様子を見な がら何度も塗り重ねて徐々に色を近づけていく方法を考えていたからなのです。

Photo_20210124081701塗料は当初オイルステインを予定していましたが、近所のホームセンターでは良い色が売っておらず、代わりにカラーニスを使うことにしました。
本体側の塗装色に近い「マホガニー」と、こげ茶色の「エボニー」の二色を混合し、様子を見ながら塗っていきます。
01_20210119124901マホガニーを中心とした一回目の塗装が終わった状態。
思ったより本体側に近い色合いになりましたが、当然一度で満足の行く色合いにはなりません。



03_20210119124901テストピースで重ね塗りの効果を確認したり、二色の割合を変えたりしたりしながら塗り重ねて行きます。
カラーニスは色ムラが出やすい塗料なので、そのあたりも注意・修正しながら進めます。

003_20210125090301徐々にエボニーの割合を高めながら、三回目でこのような感じ。
この後さらにエボニーの割合を高めつつ、しかしニスの濃度は薄めながら数回塗り重ねました。



04_20210124083201仕上げに全体に#1000の耐水ペーパーを軽~くかけてツヤを落としたら塗装は終了。
かなり本体側に近い色合いにすることが出来ました。



02_20210127131001 最後に「いつか何かに使うかも」と思い、その昔アンティークショップみたいなところで購入したツマミを取り付けて完成です。

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2020.12.27

新しい酒燗器を購入したんですよ。

ようやく寒さも本格化し、燗酒の季節になりました。
お店ではもちろん、自宅でも奥深い燗酒の美味しさを味わうために、酒器はもちろん酒燗器にもこだわりたいものです。
Photo_20201227075601
その昔最初に購入した酒燗器は、株式会社サンシンのミニかんすけ。木の箱の中に陶器の容器があり、その中にお湯を入れて、付属の錫でできた蓋つきチロリでお酒を温めるというもの。錫製の蓋つきチロリで燗したお酒はまろやかで美味しく、ちゃんとした木材をあられ組みで組んだ見た目も雰囲気十分で、お気に入りでした。

しかしこのミニかんすけにも弱点があって、まずは一度にチロリをひとつしか温められないこと。もう一つは熱源がお湯なので、時間がたつと冷めてしまうのです。

Photo_20201227075302そんな時ホームセンターで見つけたのが電気式の酒燗器です。一度に二本温められるし、熱源が電気なので温度調節は自由自在。見た目はプラスチックでイマイチですが、いつしかミニかんすけにとって代わり、我が家のメイン酒燗器となっていたのでした。
そんなある日、ふとミニかんすけを見ると、内部の陶器が割れているではありませんか!
引っ越しの時にでも割れてしまったのか?
最近はあまり使わなくなったとはいえ、ミニかんすけが使用不能となるのは悲しいものがあります。
Tk2で、この陶器の部分だけ購入できないか調べているうちに、同じ株式会社サンシンの販売している、かんすけTK-2型を発見したのです。
実はミニかんすけを購入する際、このTK-2型の存在は知っていたのですが、何しろ価格が高くて、素人にはちょっと手が出せないシロモノでした。ところが今回改めて調べてみると、”錫製蓋つきチロリ無し”というバージョンがあるではありませんが!
錫でできているだけに、このチロリがなかなかいいお値段なので、これが無いと金額はグッと下がって、¥36,500-で購入できたのです(amazonで)

このTK-2型はミニかんすけとプラスチックの電気式酒燗器の良いところだけを合わせたような製品で実に素晴らしい。
蓋つきチロリはすでに1個持っているし、他にも徳利をいくつも持っているのでその点も問題なしです。
以下、TK-2型の細部を紹介します。
Photo_20201227075701まずは電気まわり。
電源はAC100Vで家庭のコンセントから供給できます。
コードの長さもプラスチックの物より長い。
アース線が付いているあたり、さすがに業務用機器です。

Photo_20201227075404スイッチまわり。
一番右が電源のON/OFF。
中央は電源ランプ。
左側が温度調節用のツマミです。
ツマミは大きめで使いやすいです。

Photo_20201227075401内部はこのようになっています。




Photo_20201227075406 穴の開いたステンレスの台を外すとヒーターと温度センサが現れます。




Photo_20201227075301 どうこの内寸は110×215×105mmで、純正の蓋つきチロリはもちろんセット可能です。



Photo_20201227075303 我が家で一番胴の太い徳利も余裕でセットすることができます。




オマケで付属してきた酒温計。Photo_20201227075304







Photo_20201227075901TK-2型デビューのこの夜は、ハマグリ入り湯豆腐鍋を突きつつ、じっくりと燗酒を味わうのでした。

 

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2020.12.06

阿佐ヶ谷:のみくい処 青月で静岡おでんとナポリタン

01_20201017093501今年の4月に阿佐ヶ谷へ越してきて、緊急事態宣言解除後の6月から飲み歩きを開始。
阿佐ヶ谷スターロードのお店もかなり行ってみました。
だいたい40軒以上入ってみたので、近頃は地上階ではなく二階や地下のお店にも足を踏み入れています。
聞くところによると、飲食店ビルでは地下や二階以上になると、路面店に比べると家賃がグッと下がるのだとか。
その理由は新規のお客がフラッと入ってくる確率が大幅に下がるからなのだそうです。

とうことは逆に、決まったお客さんが付いている、個性のあるお店に出会える可能性も高くなるというものです。

この夜向かったのは、「のみくい処 青月(あおづき)」です。

お店があるのはビルの三階。
狭くて急な階段を上り、これまた狭い入り口を開けます。

こんばんは~。

あっ、いらっしゃい。
と奥さん。

カウンター席の端に腰を落ち着けて、まずは生ビール。
さわやかなホワイト・ベルグが喉を潤してくれます。

お通しをツマミつつ、まずは"生ピーマン肉詰め"をお願いし、店内を見回します。
先客は奥のテーブル席に女性二人組みのみ。
シャキシャキとしたピーマンにピリ辛のひき肉。

うまい!

02_20201017093501 お次は静岡おでん
このお店は料理担当のご主人が静岡出身ということで、静岡おでんと静岡の日本酒が常備されているのです。
鍋でよく煮込まれた静岡おでんから”コンニャク”と”しのだ巻き”をチョイス。
良くしみ込んだ出しと、しのだ巻きの独特のムニュムニュ感。
これにこの日オススメの日本酒、志太泉でクイッツと

フゥ~。

合うなぁ。日本酒とおでん。

03_20201017093501〆はナポリタンを赤ワインと共にいただきます。
このお店のナポリタンは、普通のナポリタンよりねっとりとした食感に濃厚な味が絡みつき、病みつきになること間違いなし。
時々食べに来ないと禁断症状が出てしまいます。

んー、満腹満腹。

この後は同じビルにあるBARへと向かうのでした。

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