2018.04.28

bar nidoでラム酒の世界に浸る。

雨が音もなく降る夜。
そんな夜は小倉の飲食店街にも人影はまばらです。 
しかしこのような人の少ない晩こそ、静かなBARでゆっくりと過ごすのには最適なのです。

Nido古めかしい飲食店ビルの2階の一番奥。
夜八時になるとほんのりとした明かりが看板に灯ります。
bar nidoです。

開店時間を狙ったかのように、ギッ・・と扉を開けると、

「いらっしゃいませ」とマスターの歯切れの良い声。

カウンター席に腰を落ち着け、まずは”ジン・トニック”をお願いして一息つくことにします。
木材の柔らかさやぬくもりを感じさせる店内は、カウンター7席と他に小さなテーブル席。目の前で進められるマスターの丁寧な仕事ぶりにゴクリと喉を鳴らしながら完成を待ちます。
ジンはボルスを使われており、かすかな苦味の後に爽やかさが追いかけてきます。そのジン・トニックを味わうと、一日の疲れが洗い流されて行きます。

このお店の特徴はラム酒を80種類以上、ジンも数十種類置いていることです。

ラムやテキーラをたくさん置いているお店というのはなかなかなくて、稀にあっても店主が”レゲェスタイルの兄ちゃん風”だったり、あるいは結構な高級店だったりとどうも波長の合わないケースが多いのです。
しかしこのお店bar nidoは、しっかりとしたBARのスタイルで、マスターもまじめそのもの。
ラム酒の奥深い味わいに安心して浸れるというわけです。

マスターはお酒を愛するあまり50歳を過ぎてからサラリーマンを辞め、専門のスクールで学びこのお店を独立開業するまでに至ったという、少し変わった経歴の持ち主です。

カウンターの片隅には地球儀が置いてあり、ラム酒の産地についてマスターが説明をしてくれます。
ラム酒というとすぐにキューバが思い出されますが、実は中南米の各国で作られていて、思いのほか生産国の数が多いのに驚きます。
Nido_2地球儀にはコロンブスはもちろん、マゼランやバスコダ・ガマの肖像とその航路も記されていて、大航海時代のロマンを感じさせてくれます。
中米のほとんどの国がかつてはスペイン領であったこと、極めて小さな島が一つの国だったりすることなど、お酒を飲みながら地理や歴史の学習も出来るのは楽しく、また得をした気分でもあります。

お酒や食べ物を見るとすぐに値段の話になる人がいますが、どんな国で、どんな人が作っているのか、どんな歴史があるのか・・・。
そんなことが案外しっかりとした隠し味になったりするものなのではないでしょうか。

私:「火曜日は飲みすぎて翌朝もグロッキー状態でしたよ。」
マスター:「ハハハ、ところでグロッキーの語源は、イギリス海軍のグロッグ提督という人物からきているんですよ。」
私:「ホゥ、それは初めて聞きました。」
マスター:「昔の航海では水の代わりに保存のきくお酒を大量に・・・」

などと話しつつ、マスターおすすめのラム酒を少しずつ流し込みます。

週末にはお手伝いの美魔女系店員さんも登場し落ち着いた店内に華を添えてくれます。

屋号の”nido”はイタリア語で巣箱という意味だそうで、まさしく大人の巣箱になっている。
そんな素敵なお店なのです。

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2018.01.10

山口県宇部市。やはり市役所の近くに良い店あり。

夜の風もだいぶ冷たくなった今日この頃。先日は山口県の宇部市に宿泊しました。
北九州市から車で一時間ほどの距離にある宇部市は、毎月のように訪れているものの宿泊するのは年に一度か二度です。

宇部市のシンボルといえば世界的な化学メーカーである宇部興産の広大な工場。しかしその最寄駅であるJR宇部新川駅周辺の街は、あまりにも寂れているのです。
大きな工場の企業城下町にありがちなことではありますが、生産の海外移転やオートメーション化で、高度成長時代に比べると工場で働く人の数が何分の一にも減ってしまったことが主な原因でしょう。場所によっては昼間でも足を踏み入れることをためらってしまうような一角もあるのです。

そんな宇部の夜の街は、過去に何度かふらふらとさまよってみたものの、これというお店は見つからずじまい。
この夜はすでに時間も遅いし、車の運転で疲れたし、ラーメンとビールで済ませることに・・・。
のはずが、生ビールを2杯飲みほすころになると、

「せっかくの宿泊なのに、これで終わっていいのか?本当にそれでいいのか?」
という内なる声が聞こえてきます。
そんなわけでラーメン屋を出ると、自然にこれまであまり歩いたことの無いエリアの方へと歩みを進めます。
私の経験上、県庁や市役所など人の多い役所や、大きな病院の近くには落ち着いた感じの良いお店が見つかることが多いのです。


かなり歩いた後、宇部市役所の前へと到達しました。


Ube01_3しかし・・・。

ありゃ~。

周囲にはお店があることはあるのですがスナックばかり。
しかもほとんどのお店は看板に灯が入っていない・・・。

やはり今夜もダメか・・・。

と思った直後、真っ暗な通りの一角にほかと少し違う店構えのお店を発見しました。
Ube02 白い壁にスリットが入っており、そのスリットの奥には数々のグラスが並んでいます。
入り口近くに「竹」と書かれた小さな看板。
正面の壁は最近塗装されたようでもあるし、建物の裏のほうを見るとそのまま住居に続いているように見える。

悩む。

ちゃんとしたバーのようでもあるし、美容院かなにかであった店舗を改装して営業している”オバチャン・スナック”かもしれない。
さっきから見ていても客の出入りが全く無いので、店内の様子はわかりません。
入り口付近は照明が無く、開店前なのかもしれません。

しかしここまで歩いてきてしまったのだから、探検せずにホテルへ引き返すのももったいない。ひとしきり考えた結果、覗いてみることにしました。

こういうときに注意しないといけないのは、文字通り覗くように首から先に入ることです。勢いをつけて足から入ってしまうと体全体が店内に入ってしまい、

「ありゃりゃ、失敗した。」

と思っても引き返すことが出来ません。
首から入って覗き込めば、「すいません、間違えました」とか言って引き返すことも可能なのです。

木製の扉をよく見ると引き戸になっているようです。緊張しながら引き戸を開けてみます。

ガラリ・・・。

ワーオ!

Img_3332488 店内は中心に白木の美しいカウンターが置かれた、しっかりとしたバーの雰囲気。
先客はなし。四十代後半から五十代前半とおぼしきマスターが迎えてくれました。

まずは”ジン・トニック”をお願いし、改めて店内を観察します。

お店は比較的新しい感じですが、カウンターの厚さと美しさがただものではないことを物語っています。
ライムの香りをグラスの淵に丁寧に付けて作られたジン・トニックをいただきながら、マスターにお話を伺います。

非常に美しいカウンターは、その色や木目から日本の木材のように見えます。
店内には昔どこかで嗅いだことのある木の香りが薄く漂っています。

私:「この美しいカウンターは日本の木材ですか?」
マ:「はい、イチョウです。」
私:「ほぉ~それはスゴイですね。イチョウと言えば高級なまな板の材料ですよね?」
マ:「おお、よくご存知ですね。」
私:「実家の隣が神社でして、昔その神社のイチョウの大木の枝を伐採したときに、切り落とした太い枝を大工さんがまな板に加工して、近所の家に配ったことがあるんですよ。」
マ:「なるほど。」
私:「この木の香りも思い出しました。」
マ:「一生分の借金と引き換えに購入しました(笑)」

二杯目は”ホワイト・レディ”をオーダー。
シェイカーをセットするときに、それまでにこやかだったマスターの表情がキリリと締まったのが頼もしい。

聞けばこのお店は三年ほど前に開店。その前は小野田で長くお店をされていたそうです。
移転したのは宇部以上に寂れてしまった小野田ではさすがに商売が難しくなったという事情もあったようです。

マ:「カップルのお客様が一組しか入っていない夜は、(騒がしい客が入ってこないように)外の看板の灯を落としたりとかしていましたからね。」

というマスター。

素晴らしいお店というのはいつまでも記憶に残るもので、そんなお店に出会うと過去に行ったお店のことも思い出すものです。
この夜発見した「BAR 竹」で、いくつもの懐かしいお店を思い出しつつ、ゆったりとした時間を楽しんだのでした。

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2017.10.15

都城市の夜に、いぶし銀の星が二つ。  後編

都城市での二軒目は、小倉のbar raisinで教えていただいたお店へと向かいます。
調べてみたら電車で一駅、西都城駅の方にあるようですが、電車の本数は思ったより多くて一安心です。
その西都城駅へと移動し、駅前に設置された地図を見てみると、目的地が先ほどのお店で聞いた”一番の飲み屋街”である牟田町であることが判明。

ところが・・・・

目的地までの道のりは街灯もない真っ暗な道が続きます。
少し歩いたところでやっといくつか明かりが見えてきました。
とはいえあまり華やかとは言えない飲み屋街。その一角の、おそらくこの辺りではランドマーク的になっているものと思われる大き目の飲食店ビルに、目指したお店はありました。

Photo SHOT BAR トロアジェームオム

扉を開けると先客は無し。
まっすぐなカウンターとテーブル席が2つ。

マ:いらっしゃいませ
私:こんばんは。えっと・・・。
マ:どうぞ、真ん中へ。

まずは”ジン・トニック”をお願いしたところ実にシャープな味わいで喉越しがバツグン。

その味に、
「このお店、いい店だ。」

と確信し、改めて店内を見まわします。
バックバーには数百本のボトルが鎮座しています。
意外にも古いお店ではない様子で、マスターも重鎮クラスかと思いきや、お歳は60手前と思われる。

マ:ご出張か何かで?
私:ハイ、小倉から。向こうでraisinのマスターにこのお店を教えていただいたものですから
マ:あー、林さんね。そうですかそうですか。
私:”トロアジェームオム”とはどのような意味なんですか?
マ:「三番目の男」という意味なんですよ。
  一番がお客さん、二番目はバーの雰囲気、三番目にバーテンダー。
  私はそれで良いと思っているんですよ。


そんな会話をしつつ、二杯目は”ホワイトレディー”を注文。
独特な長く丁寧なシェイクの後に供されたカクテルは、やさしさを感じさせる味わい。

マスターによると、最初は現在と同じような普通のサイズのお店をやっていたのだが、その後しばらくして世の中の景気とともに経営を拡大。
かなり広いお店で人も何人か使って酒場を営んでいた時期もあったとか。
しかし結局は、自分の理想と違った方向へ向かっていることに気づき、数年前に原点に戻るようにして現在のお店を開いたそうである。

いぶし銀のマスターのお話を聞きつつ最後は”マティーニ”でキュッと締めたのでした。

めったに訪れることのない都城市。
そこで出会ったいぶし銀の酒場の主二人。

「何か理由を作って、また来たい。」

そう思わせる静かな街なのでした。

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2017.10.08

都城市の夜に、いぶし銀の星が二つ。  前編

01_2 宮崎県都城市。
JR日豊線で鹿児島市と宮崎市のちょうど中間にあるこの街には、なかなか訪れることがないであろうと思っていました。
鹿児島市や宮崎市ですら仕事はあまり無く、「遅くなって帰社できない」という理由で数年に一度宿泊する程度なのです。
なのでその中間点にある都城市に宿泊することはまず無いであろうと思っていたのです。

そんなある日、ふとしたことから都城市にある”霧島酒造”へ仕事で訪問することになったのです。

小倉から車で移動すること4時間半。
都城市の居酒屋に関する情報はゼロです。

ホテルで一息ついてから、とりあえず駅前へと行ってみます。
コンクリート造りでレトロな感じの都城駅。
その左側に小さな飲み屋街が広がっていました。
日没前の時間帯に通りをのぞき込むと、飲食店の看板はわりと近くまでしか連なっていません。

02 飲み屋街全体がたいした面積でもないことを悟りつつ、まずは隅から隅まで歩いてみます。
居酒屋、BAR、料理屋、スナック、etc
いろいろなお店がありますが、そろそろ開店する居酒屋形態のお店はどこも「入りやすい感じ」です。
店の前にその日のオススメメニューを張り出していたり、どんな食材・料理をメインとしているのか、ワイワイやるタイプなのか少人数向けなのかといったことがわかるような店構えのお店が多い。

しかしまぁ、都城といえばやはり焼酎の霧島になっちゃうんだろうなぁ・・・。

などと思いつつ探索していると、通りの角に小綺麗な店構えのお店を発見しました。
オーラを感じて近づいてみると、日本酒に力を入れていることがありありとわかります。
なかばあきらめていた日本酒メインのお店に心をときめかせつつ、もうすこし観察してみます。
「日本酒メイン」を掲げるお店には失敗例も多いからです。
 ・店主がウンチクを語り、押し付けてくる。
 ・そもそも銘柄の種類が少ない(販売店のいいなり)
 ・常連でガチガチに固められている。
などがその例です。

03最初は遠くから、そして徐々に近づいて見ていくと、窓の内側に並べられた一升瓶の銘柄に”南・純米吟醸””鍋島”などがあること、そしてそれらの一升瓶はこのお店の外観・内観と一体となるべく、建築の一部としてレイアウトされている(ようするに洒落た感じだ)ことに気づきました。

比較的新しそうな看板には「日本酒BAR 酒縁 本郷」とあります。

きっと良いお店だ。
そう確信し引き戸を開けます。

ガラリ・・・

いらっしゃいませ。

と、マスター。
髪はロマンスグレーで口ひげが似合っている。
文学や芸術にも触れていて、間違っても客に酒のウンチクを押し付けたりはしないタイプに見える。
店内はBARというよりは普通の和食のお店の雰囲気で安心できる。
先客は無し。

私:えっと、どこでもいいですか?
マ:はい、どこでもお好きなところへ。

まずは”生ビール”をお願いし、さっそくメニューに目を走らせます。
日本酒は奇をてらったようなものはなく、基本的なところが充実している。
ツマミ類も塩辛系から干物、腹にたまるものまで揃っていて文句なしだ。

まもなく女将さんの手によって”生ビール”と”お通し”が到着。
お通しはチクワに手を加えたものやキビナゴの干物など三品が上品に並んでいる。

見慣れない客を出張サラリーマンと見抜いたマスター。

マ:失礼ですが、どちらから?
私:小倉からです。
女将:お仕事ですか?
私:ハイ、明日霧島酒造さんへ。
マ:ホウ、霧島さんの関係ですか。
私:関係といいましても、設備の方(酒の販売ではなくて)です。
マ:ああ、それじゃあ今建設中の・・・。
私:そうです、バイオマス発電の・・・。
女将:すごい規模で工事していますね。私、出勤のとき毎日霧島酒造さんの前を通ってくるんですよ。

「私たち」と言わないところを見ると、マスターと女将さんは夫婦ではないのかな?
などとどうでもよいことを考えつつ、日本酒へ移行します。
まずは”天狗舞”と、ツマミに”ツブ貝ワサビ”をお願いします。

んー、やはり落ち着くなぁ。日本酒は。

マ:普段はどのような日本酒を?
私:地域でいえば静岡のお酒が好きです。あと山形も。
マ:静岡のお酒はなかなか手に入らないなぁ

というわけで二杯目は”山形正宗

女将:霧島酒造の社長さんもいらっしゃるんですけど、案外日本酒好きなんですよ(笑)
私:へぇ~、そうなんですか。まぁさすがに自社のものばかりでは飽きるでしょうからね。

最後に”鍋島”をぬる燗でお願いし、同時に”朝取れ鶏のタタキ”も注文します。

ぬる燗でいただく”鍋島”と、旨みたっぷりの鶏のタタキに思わず笑みがこぼれる。

マ:都城は初めてですか?
私:ええ、初めてです。この辺りが飲み屋街の中心なんでしょうか。
マ:この辺りはスナックとかも全部合わせて100軒くらいで、少し離れた牟田という地域が500軒くらいでしょうかね。

落ち着いた店内でゆっくりと流れる時間を楽しみつつ、初めての街でまた一軒良いお店を発見した喜びに浸るのでした。

後編へ続く。

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2017.04.02

ベランダカウンターに石焼を導入したんですよ。

3 春がやってきました。
冬の間は寒くて使うことのできなかったベランダカウンターを再開する季節です。
朝晩はまだ肌寒いものの、昼すぎに日が差したベランダはポカポカしていい気持ち。

Photo_9
そして何より見晴らしの良い我が家のベランダカウンター。

まずはビールで皿倉山にカンパイです!




Photo_2 この日は我が家の冷蔵庫に良い日本酒が揃っていたので、食事も和食ベースとしてみました。

最初は””で腹を満たします。
西日本は丸餅オンリーかと思いきや、四角いタイプもちゃんと売っています。磯辺巻き風に海苔とチーズを巻くには四角タイプの方が都合がヨロシイ。
お酒の供としては”ソラマメ”もいい仕事をしてくれます。

Photo_3 ビールでのどを潤したら、お次は日本酒。
まずは香川県の銘酒である”川鶴 讃州オオセト55 特別純米”をグイッといきます。
気骨のある川鶴の味わい。いわゆるフルーティーなお酒も悪くはないけれど、やはりこういうしっかりとした味わいのお酒が好きだ。



Photo_4 そしていよいよ登場したものが「」です。
マンションのベランダで炎の出る器具はNG。
冬の間いろいろ考えていたのですが、ある日、出張先の居酒屋で”石焼”なる料理を見つけて小躍りしていたのです。
石は近所の川で大きさや形を吟味して拾ってきました。
その石をガスコンロで熱した後、食材を乗せて焼くのです。

Photo_5 この日の食材は市場で買ってきた”生のタコ”。
これにレモンをギューッと絞って、きざみネギとともに焼きます。
そしてポン酢をつけてパクリ。

たまんねぇ~。

Photo_6 次なるお酒は”秋鹿 純米生酒 山田錦
これを片口に注いでいただきます。

石の放射熱はかなりのものなので、近くに置いた片口が少しずつ温まります。
温度とともに変化するお酒の風味をゆっくりと楽しみます。

タコを平らげるころには石が冷めてきたので、次の石をセットします。

1そして食材は”干しタコ
これは熊本の居酒屋で出会った、燗酒にストライクなツマミなのです。
お店の人に尋ねてみたら天草地方の名産であるとのこと。
そこで天草に出張する部下に命じて買ってこさせていたのです。

Photo_7 干タコを石の上に置くと、ムギューッと縮み、続いてクニャッともんどりうつのが楽しい。

Photo_8 お酒は”群馬泉 超特選純米山廃”をぬる燗で。

ん~、いいねぇ。

ぬる燗とあぶった干物。
そして気持ちのいい景色。

充実した昼下がりなのでした。

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2016.12.03

山口県周南市。やっと見つけたいいお店。

山口県周南市。
この街に訪れるようになって九年目になります。しかしこれまでかなり探検したにもかかわらず、コレという居酒屋に出会うことが出来ずにいました。

地元の人が、
「三十年前は東京より人が多かった。」
と言う駅前のアーケードはすっかり寂れてしまい、いわゆるシャッター商店街です。

夜になれば意外に多くの飲食店が軒を連ねるものの、この街の特徴は何しろ単価の高いお店が多いこと。
聞くところによると大手企業の主力工場が立ち並ぶため、バブル時代には持て余した接待費で飲む人が大量に訪れ、勢いお店の方も単価を上げた名残なのだとか。
結局のところ地元は人口減、出張などで外から来る人間は外に飲みにいかないということになってしまったようです。

押し黙ったような夜の街。

それでも年に数回の宿泊時にはアチコチ歩き回り、昨年の秋ごろやっと良いお店を見つけたのです。

飲み屋の灯もそろそろ途切れ途切れとなり、住宅やオフィスが多い暗がりに入ろうかという境界線のあたりに、そのお店「豆福」はありました。(良いお店はだいたいこのような場所にあるようです)
Photo 暗い通りにほのかにこぼれ出る暖かい照明。
入り口付近に置かれた看板には小さめの字で「本日のオススメ料理」。
端の方には日本酒の紙箱がいくつか置かれています。
料理はどれもひと手間かかっていそうな感じだし、日本酒の紙箱の置き方や数は控えめながら、銘柄はしっかりとしている。

むぅ、これは期待できる。

そう確信して初めて入った夜のことを思い出しつつ、この夜も扉を開けました。

カウンター4席と他にテーブル席。
これらをすべてを合わせて10席と小さなお店です。

「あっ、いらっしゃい。」と小柄でいつもニコニコしている大将。
私:「寒くなりましたね。」
大:「そうですね。いつもご出張の度に寄っていただいてありがとうございます。」

まずは”キリン・クラッシックラガー”の小瓶と、ツマミは”生湯葉わさび醤油”。
カウンターの上の壁には日本酒のラベルがびっしりと貼り込まれ、その中には最近貼られたらしきものもいくつか・・・。
こんなところにも研究を怠らない店主の姿勢が表れているような気がします。

ビールで喉を潤したら、湯葉の歯応えを楽しみつつ、温かい料理を探します。

私:「”海老芋と椎茸の揚げだし”の海老芋というのはなんですか?」
大:「海老芋というのは京都のお芋で、里芋の大きいようなものです。」
私:「ホウ、ではそれをお願いします。」

里芋は私の大好物の一つ、良いお店ではいろいろと波長が合うものです。

お酒は最初はスッキリ目を期待して”菊姫・山廃純米 鶴乃里”を選択。

「熱いですよ」と供された、”海老芋と椎茸の揚げだし”はボリュームもそこそこあり、海老芋を箸で分けながらモグモグと味わいます。
確かに里芋の一種だとうなずきながら”菊姫”をスッと。
糸を引くような香りが残る銘酒を口に含むたびに、石川のお酒に外れは絶対にないことを確認。
そして早くも次のお酒の検討に入ります。
オススメの日本酒メニューから選んだのは”雪の茅舎”

大:「飲んでいただきたいと思っていたお酒をピンポイントで選んでくれますね(笑)」
私:「昔は仕事で秋田(雪の茅舎の産地)によく行っていたものですから。」

海老芋をたいらげ、あとはゆっくりと飲みたいと思い、定番のオツマミから”牛肉のしぐれ煮”を選択。
ピリリと山椒の効いたその味に合わせるのは、”貴・特別純米 ふかまり”をぬる燗で。

静かな店内で美味しいお料理と日本酒を楽しみ、体も暖まったところで二軒目へと向かうことにしました。

大:「このあとはウィスキーですか?」とまたニコニコ。
私:「ハハハ、図星です。」

と答えてBARへと向かったのでした。

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2016.08.28

ベランダカウンターでの夕食

Photo_3 暑い。あまりにも暑い今年の夏。
しかし我が家はマンションの9階ということもあり、日が暮れるといくらか涼しげな風が流れ込んでくれます。
そんな夕暮れのベランダカウンターで、夕食&独酌を決め込むことにしました。

まずはベランダカウンターをセットし、更にベランダ全体に打ち水を行って酒の舞台を整えます。
01 一杯目は飲む30分前に冷蔵庫から冷凍庫に移してキンキンに冷やしたビール。銘柄は我が家のレギュラーである”キリン・ハートランド”。
ツマミはスーパーで買ってきた焼き鳥という具合に軽くスタートです。

んまぁ~、何度見てもイイですな。
ハートランドのビンに差し込む陽光は。


Photo ビールで喉にも打ち水をしたところで、本日のメインディッシュである”素麺”を準備し、お酒は日本酒へとチェンジ。

最初のお酒は”亀齢・辛口純米八拾”。
このお酒は広島のお酒には珍しく、ほどよいスッキリ感があるので一杯目としては実に良いのです。
これをガラスの酒器から江戸切子のぐい飲みに注いでいただきます。

01_2 このガラスの酒器は見た目が涼しげであるだけではなく機能も持ち合わせています。
ガラスの容器が二重構造になっていて、蓋の部分の下に小さいコップくらいの大きさの容器が入るようになっているのです。
そのコップ状の容器の中に水を入れてあらかじめ凍らせておき、お酒を呑むときにセットすれば、低い温度を長めに保てるという仕組みです。

03_2 二杯目は初めて呑む銘柄。”基峰鶴・特別純米生”の登場です。
佐賀県の蔵元で、200石くらいしか造っていない小さな蔵元だそうです。
ツマミとして冷奴(瓶詰めのウニをトッピング)を友にして、抜栓したばかりの生酒らしいピチピチ感を味わいつつチビチビと呑み進めます。

01_4 そうしているうちに日も本格的に沈みかけて、周囲のビルや商店の明かりがポツポツと灯り始めました。
夕暮れから日没までベランダカウンターから眺めていると、まずはスーパーの店内など常時明るく点灯している明かりが、次にマンションの通路や非常階段などのやや暗めの明かりが、そしていよいよ暗くなると、自動車のテールランプや人家の部屋の明かりがといった具合に、夜景にも段階があることがわかりました。

Photo_2 最後はウィスキー。
スコッチ・ウィスキーのボトラーズ物らしい”PET'S Beast”をロックで(氷は型で作った丸氷を使用)、程よいピート香のウィスキーに合わせるツマミはナッツやチョコレートと自家製の燻製。


フゥ~、幸せですな、自由ですな、この独りの時間。独りの空間。




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2016.07.10

小料理 なみ にて東洋美人を味わう。

梅雨も後半に入り蒸し暑くなってきた今日この頃。
いつものように仕事を終えると足早に向かうのは小倉の飲み屋街。

今宵うかがうのは紺屋町の「小料理 なみ」です。

開店直後の時間帯だけに先客は無し。
ひとり酒宴を張ることにします。
カウンター席に陣取るとまずは”キリン・ハートランド”で準備運動です。

クゥ~、いいね、労働の後の一杯は。

Photoツマミはお通しに加えて”フツウサラダ”です。
この”フツウサラダ”は、私がダイエットに励んでいる時期に大将にお願いして作っていただいた「普通の野菜サラダ」が定番メニューに進化したものなのです。
時々メニューを見て、

「フツウサラダって何ですか?」

と聞いているお客さんを見ては、私としては心の中で小さくガッツポーズしているのです。
Photo_2さてお次は日本酒に移行し、”南 純米吟醸”に”お刺身盛り合わせ”。

上品で、そして美しく引かれたお刺身をアテに、チビチビと呑み進む時間の幕開けです。

”南”はやはり純米吟醸に限るなぁ~。

と、あらためて思い始めた頃には盃が空に。

Photo_4このあとは静岡の銘酒”開運”に進むのがいつものパターンです。

お酒のネーミングというのはなかなか大切で、私が焼酎になじめない原因はもしかしたらここにあるのかもしれません。

”大魔王”とか”黒サソリ”はたまた”元老院”なんかよりは、やはり”開運”の方が気分的に良い。


Photo_5そんなどうでもよいことに思索をめぐらせつつ、三杯目は”東洋美人 ippo
をお願いし、合わせるツマミは”チーズパオ”です。

東洋美人というお酒を知ったのは十年以上前(東京勤務時代)で、当時は今より少し味の濃い感じの、燗が似合うお酒だったと思います。
わりと好きで飲んでいたのですが、そこはやはり山口県のお酒。関東よりも九州のほうがグッと手に入りやすいワケです。
ところがいつの頃からか、味が変わってきた。

日本酒は雑誌などで取り上げられてちょっと人気が出てくると、その後味が落ちる銘柄がよくあるように思います。
あくまでも個人的な意見ですが、その兆候としては、

・同じお酒の中で種類が異常にたくさん増えること。
・輸出がはじまること。

だと思っています。

製法上毎年同じ味のものを造ることすら難しいのに、やたらと種類を増やしても意図したものが出来るのだろうか?
輸出で日本の文化である”酒”を世界広めるのは賛成ですが、それで国内が品薄になっては本末転倒ではないのか?
と思うのです。

で、この夜3杯目の東洋美人も一時期いろいろと種類が増えて、最後はラベルで田んぼの番地を表す銘柄までもがが登場しました。酒米の違いくらいならともかく、田んぼの番地まで細分化されても普通の消費者にはその違いはわからないのです。
その後2013年に天災にあい田んぼが崩れてしまい、しばらく姿を見かけなかったのですが、数年前に「原点」と銘打ったお酒が登場。
災害からの復興を祈りつつ飲んだものの、正直な感想として味はいまひとつでした。

Photo_6そして最近出てきた「東洋美人 ippo
原点から一歩ずつ歩み始めたという意味のippo。これが素晴らしく美味しい。
しっかりとした土台の上に今風のすっきり感がフワリとかぶさり、文字通り美人が薄化粧したような美しい味のお酒に仕上がっています。

正直、昔の東洋美人よりも良くなった。

何杯飲んでもあきが来ないスッとした舌触りが、造りの確かさを物語っています。

だまって盃を傾け、生産すら出来なくなってしまう状況からここまでに至る蔵元さんの努力は、経営の面も含めて並大抵なものではなかったであろうと想像すると、目頭が熱くなってきます(年のせいか最近涙もろくなっています)

山口県の銘酒復活です!。


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2016.07.01

燻製作りを始めたんですよ。

00酒飲みという人種はツマミにもこだわるもので、お酒のレパートリーが広がるのに連れて食の方も守備範囲が広がっていきます。
知り合いや近所の人が分けてくれる毎年の旬の食材を楽しみにしたり、旅に出れば各地の名物を求め、それに酒を合わせる。
三十代半ばくらいからは珍味を酒の友とし、「旨いものをちょこっと」で満足するようになるものです。
そんな酒飲み達が、酒の和洋を問わず好んで食するツマミが「燻製」です。
この燻製、お店で食べる分には何の問題も無いのですが、自宅、しかもマンションで作るとなるとどうも敷居が高いように思っていたのです。
燻製作りに関する書籍はたくさん出版されているし、燻製用の機材も実に様々なものが売られています。
更にマンションでは煙の問題があります。

まさに何から手を付けてよいのかわからない状態。そんなある日、マンションでの燻製作りをあきらめきれずにWEBでアレコレと調べていると、どうやら煙の問題を解決できそうな機材を発見しました。
01Zwilling ツインスペシャルズ スモーカーセット”という製品で、見た目は写真のように鍋のような形。
実際鍋としても使用可能なのですが、こいつの内部に燻製材料を載せる網と、材料から落ちる水分をスモークチップに直接触れさせないためのカバーのような部品がセットできるようになっているのです。

amazanのカスタマーレビューでも評価は上々のようなので、早速購入してみました。

このスモーカーセット、鍋状の本体と蓋の部分がピタッとハマり密閉度が高い。よって燻製製作中もモクモクと煙が出ることは無く、換気扇を回していれば室内に煙が充満することもありません。
燻製が完成して蓋を開けるときにはさすがに大量の煙が出るので、一時的にマンションの通路へ持ち出す必要はありますが、これでマンション暮らしでも燻製を作ることが出来そうです。

で、肝心の燻製作りですが、とりあえずスタートとしては心配したほどのハードルの高さはありませんでした。
03スモーク用のチップなどもWEBで簡単に入手できるし、レシピも入門クラスの書籍の通りに作ればOK。
多くの場合材料を乾かす工程があるので、このような干し網の中に入れてマンションのベランダや通路(その時間帯に日陰になる側)でしばらく乾燥。
その後各種チップを一握りと材料をセットして、燻製開始。
短いものは10分くらいで出来上がります。


04出来上がった燻製は酒のツマミとして最高。

シシャモやホタテといった元々酒のアテとして活躍していたものはもちろん、肉類やタコなどもたいへん美味しくいただけます。
燻製にすると火が通るのと同時に独特な味もつくので、塩分を控えるという意味でも健康的。
更にある程度日持ちもするので、週末に翌週分のツマミを一気に作っておくことも可能です。

05簡単に出来て日持ちする定番はカマンベールチーズ
冷蔵庫で冷たくなっても、口に入れる直前に鼻腔をくすぐるその香りがたまりません。
ソーセージみたいに加工された肉類もイケるし、変わったところでは”ちくわぶ”なんかもしっかりと味がついてオイシイ。
肉類では鹿の肉なんかもウマかった。

06香りを楽しむという意味ではスーパーで買ってきた”ウナギの蒲焼”なんかもいつもとは一味違う味わいが湧いてくる感じでgood!

燻製って、何でもオイシクなる!
中には下準備としてソミュール液やピックル液と呼ばれる塩味の液体で下処理をしたほうが良い素材もあって、そういうものは時間がかかる分出来上がった時の喜びもひとしおです。

う~ん、美味しくて奥の深い燻製の世界。
当分ハマりそうです。


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2016.05.01

唐津へ行ってきたんですよ。

今年のゴールデンウィーク、実家には帰らずに九州で過ごすことにしました。

この時期の九州といえば、一番大きなイベントは「有田陶器市」なのです。
陶磁器の産地として全国的に有名な有田・伊万里地域で大規模な陶器市が開かれ、連休中はものすごい数の人で賑わうのです。
しかし私はどうもこの「有田陶器市」には触手が動かないのです。一番の理由は、”人混みが嫌い”ということ、二つ目は”酒器が少ないと思われる”ことです。
以前仕事で有田を通りかかったときに、いくつかお店を覗いてみたり、あるいは別の陶器祭りなどで見た限り、有田焼はお皿やお椀の割合が多く、盃や徳利が少ない印象を持っているのです。

01ところでこの時期、有田以外の陶磁器の産地でもイベントが多数開かれているのです。
それらについて調べていたところ、「唐津焼きもん祭り」なるイベントを発見しました。
このイベントのパンフレット、なんと表紙に私の大好きな片口が写っているではありませんかっ!

盃や徳利よりも、更にマイナーな酒器である片口です!

内容を見ると、「古唐津のぐい呑み展」なる展覧会も行われるとのこと。

ここまで酒器にフォーカスしているとなると、これは行ってみる価値がありそうです。

特急列車を使わないと片道3時間くらいかかるのですが、車窓から玄界灘の美しい海を眺めながらの旅は楽しめます。
02唐津駅に到着すると、懸念していた人混みは全くナシ。
むしろ駅前は閑散としています。
最初に「古唐津のぐい呑み展」を見学した後、ショップや窯元が展示・即売を行っている商店街へと向かいます。
各コーナーを除いてみると、盃やぐい飲みは言うまでも無く、ほぼ全てのコーナーに片口があるではありませんか!

オオーッ!唐津焼とはなんてすばらしいんだ!

(もちろんお皿やお椀、花器や茶器もたくさんあります)

好みの酒器を物色しつつ商店街をブラブラと歩きます。
街並みは古い城下町の趣を残しており、静かで落ち着いた雰囲気の素敵な町です。

03晴天のポカポカ陽気で、心地よい風が吹いています。
立派な構えの唐津神社を見つけるとお参りし、旧唐津銀行の建物での展示「食と器の縁結び展」へと向かいます。

展示を見終わり建物から出てくると、近くに渋~い木造の建物を見つけました。

04建物の前にはうっすらとした煙と芳しいウナギの蒲焼の香りが・・・。
竹屋」というこのウナギ屋さんは木造で三階建て、文化財に指定されていることを表すプレートが設置されています。
かなり古い建物であることは間違いないのに、木材の表面はキレイに手入れがされていて実に好感が持てます。

もちろんランチはこのお店でいただくことにしました。

05店内に入ると古い建物らしく上の階の人が歩くたびにギシギシという音がしています。しかし建物は隅々まで実にきれいに磨き上げられており、この景色と音を堪能しつつし時を過ごします。

しばしの後に鰻丼という幸せが訪れました。
ウナギは表面に独特の弾力がありすばらしい食感。
お供は肝吸いとキリン クラシックラガーの大瓶です。

食後もかなりの予算オーバーを覚悟しつつ酒器ばかりを物色しながら駅へと戻ったのでした。

06そしてこれがこの日の収穫。

盃はお酒の色がよくわかりそうな色のもの、お酒を注いだときに内側の景色が変わりそうな物を中心に選びました。



07徳利と片口も一つずつ購入。

特に片口は、
「こういうの前から欲しかったんだよなぁ~」
と言いたくなる(言ってしまった)ドンピシャリの物を入手できて大満足でした。

08多分一生にそう何度も出会うことの無いであろう一番のお気に入りとなった片口でいただく日本酒は、小旅行の疲れを癒し、心地よい眠りへと誘ってくたのでした。

最後に、唐津市は「唐津焼と地酒で乾杯する条例」という条例が施行されている、実に民度の高い都市であることを付け加えておきます。


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